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“異議申し立て”の美学に触れる、「甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)」が開催

Nov 22, 2025
武蔵野美術大学 美術館・図書館にて、「甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)」が11月24日(月・振休)から12月21日(日)まで開催される。(PHOTO:倉俣史朗《硝子の椅子》1976 年)

“異議申し立て”の美学に触れる、「甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)」が開催

Nov 22, 2025 - NEWS
武蔵野美術大学 美術館・図書館にて、「甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)」が11月24日(月・振休)から12月21日(日)まで開催される。(PHOTO:倉俣史朗《硝子の椅子》1976 年)

本展では、18世紀アメリカのシェーカー教徒による信仰生活のデザインや、19世紀ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動に始まり、20世紀モダニズムの合理主義、1968年前後の社会運動とカウンターカルチャーを経て、1970年代以降に広がったポストモダンの潮流まで、造形における「異議申し立て」の系譜をたどる。

それらは、「人間主義(ヒューマニズム)」——新しい社会と人間の生き方を求めるものづくりという視座から捉えることができる。機能性や効率性を重視する近代合理主義とは対照的に、人間の感性や思想が表れた造形として読み解かれる。その視座を軸に、倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治という三人の造形作家の代表作を紹介する。

小松誠《クリンクルシリーズ スーパーバック K1》1975 年

髙﨑正治《輝北天球館 模型》1992 年

シェーカー教徒《ストレートチェア》1700 年代後半[再制作1998 年]

ウィリアム・モリス他『ジェフリー・チョーサー作品集』1896 年

特に1968年前後は、世界各地で若者や労働者たちが既存の権威や秩序に対する「異議申し立て」を行った時代だった。それは、ベトナム反戦運動、ヒッピー文化、全共闘運動など多様なかたちで表れ、造形表現にも強い影響を及ぼすことになる。こうした社会的うねりは、やがて建築・デザイン分野における新たなポストモダン表現へとつながっていく。会場ではギー・ドゥボールの『スペクタクルの社会』や、若手建築家たちが建築の制度を問い直した雑誌『アーキグラム』など、ポストモダンの造形に影響を与えた思想的背景にも目を向けることができる。

そして本展のハイライトとなるのが、倉俣、小松、髙﨑の三人による試みだ。それぞれの個性と視座から生まれる作品には、社会に対する鋭い批評精神が宿っている。硝子を用いた透明な椅子、柔らかく歪みを帯びた磁器、幻想的な構造をはらんだ建築模型——そこには、抗う意志をかたちに託した造形がある。

倉俣史朗《ヨセフ・ホフマンへのオマージュ Vol.2》1986 年

小松誠《KUUシリーズ》2011 年 作家蔵

髙﨑正治《天地のいえ ドローイング》2009 年 作家蔵

 

ポストモダンは、過去の様式ではない。現代の混迷にこそ響く「人間のためのデザイン」という思想に、観る者の想像力が誘われる。

 

 
※所蔵の記載がない作品はすべて武蔵野美術大学 美術館・図書館 所蔵

【出品予定作家(順不同)】
倉俣史朗/小松誠/髙﨑正治/シェーカー教徒/ウィリアム・モリス/フィリップ・ウェッブ/ギー・ドゥボール/能勢伊勢雄/アーキグラム/アルド・ロッシ/スタジオ・アルキミア/エットレ・ソットサス/マイケル・グレイヴス/ロバート・ヴェンチューリ/内田繁、他

 

【開催情報】
展覧会名:甦るポストモダン──倉俣史朗、小松誠、髙﨑正治、デザインの人間主義(ヒューマニズム)
会期:2025年11月24日(月・振休)– 12月21日(日)
会場:武蔵野美術大学 美術館 展示室3
開館時間:11:00–19:00(土・日曜日、11月24日は10:00–17:00)
休館日:水曜日
入館料:無料
URL:https://mauml.musabi.ac.jp/museum/
Instagram:@mau_m_l @musabi_koho

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