モダンな猫たちが誘う絵画史の旅、「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」が府中市美術館で開催中、12/7(日)まで
出発点となるのは、1920年代パリで活躍した藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品。彼が《乳白色の裸婦》とともに描いた小さな猫たちは、やがて藤田自身を象徴するモチーフとして定着していった。今回の展覧会では、その“猫”に注目し、藤田の猫を起点に、日本の洋画家たちがそれぞれの視点で描いた猫の表現を紐解いていく。
洋画の黎明期にはほとんど描かれていなかった猫。しかし、日本の画家たちは西洋美術の枠組みに縛られず、猫という身近な存在を個性豊かに描き続けてきた。猫を“おしゃれでモダン”に、あるいは“素朴に愛らしく”描いた作品たちは、人物画の合間に、さりげなくも鮮烈な存在感を放つ。
展示は、藤田の作品をはじめ、彼の影響を受けた画家たちや、猫というモチーフから独自の表現を見出した26名の作家による全83点。さらに、日本画や西洋絵画などの前史も取り上げながら、猫という小さな主役を通して、日本の洋画史をひもとく構成となっている。
愛らしく、時に気まぐれで、静かに画面を引き締める猫たち。絵の中に生きるその姿から、画家たちのまなざしと、美術の時代を感じ取ることができる。12月7日まで、モダンアートと猫の新たな関係性を探る旅へと足を運んでみては。

藤田嗣治 《猫の教室》 1949年 軽井沢安東美術館 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 G3942

テオフィル=アレクサンドル・スランタン 《ヴァンジャンヌの殺菌牛乳》

菱田春草 《黒猫》 1910年 播磨屋本店

中原實 《猫の子》 1929年 東京都現代美術館

長谷川潾二郎 《猫と毛糸》 1930年 個人蔵

木村荘八 《猫恋人(ねこらばさん)》 藤沢市(招き猫亭コレクション)

稲垣知雄 《子猫の散歩》 1975年 藤沢市(招き猫亭コレクション)
フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫
会期:2025年9月20日(土)~12月7日(日)
会場:府中市美術館
住所:東京都府中市浅間町1丁目3番地[都立府中の森公園内]
展示室:2階企画展示室
開館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(11月24日を除く)、11月25日(火)
観覧料:一般1,000円(800円)、高校生・大学生500円(400円)、小・中学生250円(200円)
※10月11日~13日は無料観覧日。混雑時は入場制限あり。
※未就学児、障害者手帳保持者と付き添い1名、府中市内の小中学生は無料。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
特設サイト
府中市美術館サイト