本展は、パリ国立ピカソ美術館が所蔵する20世紀を代表する芸術家パブロ・ピカソ（1881-1973）の作品から着想を得て、英国人デザイナーのポール・スミスが会場レイアウトを手がけた前例のない展覧会である。

会場の色使いや壁紙、装飾に至るまで、ポール・スミスの世界観を感じさせる自由な構成が随所に散りばめられている。ピカソ作品を「観る」だけでなく、デザイナー的視点から「体験」する空間でもある。例えば、“ボーダー（マリニエール）”柄の壁面を設けるなど、彼がピカソに見出したカラーパレットや構図を展示空間に反映している。

展示は約80点。初期作《男の肖像》から《アルルカンに扮したパウロ》まで、緩やかな時系列で並び、画家の変遷をたどりながら、スミスの遊び心が新たな視点をもたらす。

ピカソ作品に潜む革新性や多面性を「色」「遊び」「構成感」というデザイナー的視座から味わえる本展。壁紙や照明まで含めた“空間ごと”の作品体験を楽しみたい。

パブロ・ピカソ《読書》 1932年、パリ国立ピカソ美術館（パリ国立ピカソ美術館展示風景、2023年） © Vinciane Lebrun/Voyez-Vous, courtesy of the Musée National Picasso-Paris. © 2025-Succession Pablo Picasso-BCF (JAPAN)

ピカソ meets ポール・スミス　遊び心の冒険へ
会期：2026年6月10日（水）～9月21日（月・祝）
会場：国立新美術館 企画展示室 2E
住所：東京都港区六本木7-22-2
開館時間：10:00～18:00（金・土曜日は20:00まで）※入場は閉館の30分前まで
休館日：毎週火曜日（ただし8月11日［火・祝］は開館、8月12日［水］は休館）
主催：国立新美術館、パリ国立ピカソ美術館、日本経済新聞社
お問い合わせ（一般）：050-5541-8600（ハローダイヤル）