“なぜ彼女たちは歴史から消えたのか”、展覧会「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が12/16(火)より東京国立近代美術館で開催
本展は、戦後の前衛美術のなかで一時的に脚光を浴びながら、その後歴史から見落とされてきた女性美術家たちに焦点を当てる試みである。取り上げられるのは、草間彌生や田中敦子、福島秀子を含む14名の女性作家たち。その創作を「アンチ・アクション」という視点から読み直す構成となっている。
1950〜60年代、日本では「アンフォルメル」の流入とともに、女性作家の作品も注目されたが、その後「アクション・ペインティング」という様式概念が男性的な表現と結びつけられることで、女性たちは批評の場から遠ざけられていった。本展は、美術史家・中嶋泉の著書『アンチ・アクション』を軸に、ジェンダー研究の視点から、その歴史的背景に光をあてるものである。
赤穴桂子の《スペースに於ける物体》や、福島秀子《ホワイトノイズ》、田部光子のピンポン玉を使った作品、さらには多田美波の大型立体作品など、未公開作品も含む約120点を展示。作品と資料、言葉の数々が重層的に響き合い、鑑賞者に新たな問いを投げかける。
会場では、作家たちの活動年表や解説ガイドの配布もあり、時代背景と共に作品世界を体感できる。また、会期中には本展の学術協力者である中嶋泉によるトークイベントも開催予定。
“アクション”とは異なる美術のかたち。そこには力強さでも、拒絶でもない、静かで鋭い意志が浮かび上がってくる。見逃せない「彼女たち」の美術史への再登場の瞬間である。
出品作家
赤穴桂子(1924-98)、芥川(間所)紗織(1924-66)、榎本和子(1930-2019)、江見絹子(1923-2015)、草間彌生(1929-)、白髪富士子(1928-2015)、多田美波(1924-2014)、田中敦子(1932-2005)、田中田鶴子(1913-2015)、田部光子(1933-2024)、福島秀子(1927-1997)、宮脇愛子(1929-2014)、毛利眞美(1926-2022)、山崎つる子(1925-2019)
アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦
会期:2025年12月16日(火)~2026年2月8日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
住所:〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園3−1
開館時間:10:00~17:00(金・土曜は~20:00)※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(ただし1月12日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月13日
観覧料:一般 2,000円(1,800円)、大学生 1,200円(1,000円)
※高校生以下・18歳未満・障害者手帳提示者および付添1名は無料
主催:東京国立近代美術館、朝日新聞社
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会URL:https://www.momat.go.jp/exhibitions/566
開催記念トーク
講師:中嶋泉(本展学術協力、大阪大学大学院文学研究科准教授)
日時:2025年12月20日(土)14:00~15:30 (開場13:30)
会場:東京国立近代美術館 地下1階講堂
定員:140名(先着順)、無料
※その他のイベントにつきましては、詳細が決まり次第、同館ウェブサイト等でお知らせいたします。
巡回情報
豊田市美術館|2025年10月4日~11月30日
兵庫県立美術館|2026年2月28日~5月6日 (予定)



