ガラスは、光と影、空気と時間を抱え込み、記憶の輪郭までふっと照らす素材。本展では、異なる文化背景と技法が交差しながら、透明という名の余白に、形やテクスチャー、重さの感覚が立ち上がる。

Lætitia Jacquetton（ラティティア・ジャケトン） は、シャロン・ワコブやマルタン・マルジェラでキャリアを積み、パリのギャラリー・ラファイエットでアートディレクターを務めたのち、ヴェネツィア・ムラーノ島で修行。現在は吹きガラスと石を組み合わせたフラワーベースを中心に制作を行う。本展では、新作や新しいテクスチャーの試みが届く。《Épinoche irisé》や《Rigole》など、石の質量とガラスの流動が交わる瞬間に触れられる。

新田佳子は、吹きガラスにサンドブラストを施し、砂の文様が息づく器やオブジェを展開。「自然との共存」をテーマに、葉脈の繊細さや光の揺らぎが、掌のスケールで静かに広がる。

copo e eu 松原幸子 は、「個々の美意識や価値観はどこから生まれたのか」をテーマに、ガラスと異素材を組み合わせたオブジェを制作。本展では、stone+glassの新作や、積層ガラスによる作品《5月のそら》《海辺にて》、モビールまで、空間の中でリズムを刻むラインナップが揃う。

May Masutani は、パーツを一つずつ連ねる繊細な構造体シリーズ「Gather 1.1」、「Gather 1.3」を展示。線が面へ、面が気配へと移ろうそのプロセスに、時間の手触りが宿る。

会期中は1F Café & Barでスペシャルドリンクも登場。対象作品の購入でドリンクチケットが手に入り、ガラスの余韻を味わうひとときが用意される。街の気温が少しだけやわらぐ初秋、透明のレイヤーを通して景色が少し違って見える。

4人の視点が重なり合って立ち上がるガラスの世界は、私たちにその先の風景を想像させる——そのまなざしを、ぜひ会場で。

【出展作家】
・Lætitia Jacquetton（ラティティア・ジャケトン）：フランス・ブルゴーニュ出身。シャロン・ワコブやマルタン・マルジェラ等で経験を積み、パリのギャラリー・ラファイエットでアートディレクターを務めたのち、ヴェネツィア・ムラーノ島で修行。現在はイタリアとフランスを拠点に制作。
Instagram: @laetitiajacquetton

・新田佳子：大阪府出身。倉敷芸術科学大学卒業後、TAIZO GLASS STUDIO、Studio Re Light勤務を経て独立。東京を拠点に、サンドブラスト技法を活かした作品を展開。
Instagram: @yoshikonitta

・copo e eu 松原幸子：多摩美術大学工芸学科ガラスコース卒業。あづみ野ガラス工房で研鑽後に独立。ガラスと異素材の組み合わせによるオブジェを制作。
Instagram: @copoeeu

・May Masutani：シンガポール生まれ、富山拠点。グラフィックデザインを学んだのち、富山ガラス造形研究所でガラス技法を修める。国内外で発表を重ね注目を集める。
Instagram: @maymasutani

【GALLERY ESCAPERS / ギャラリー エスケーパーズ】
GALLERY ESCAPERSは、2019年に国内外の工芸作家をサポートする代理店として設立された。多彩な工芸作家の個展やグループ展を企画し、伝統的な技法と現代的なデザインを融合させた作品を紹介。アートとクラフトの新たな価値を提案し、国内外の才能ある作家の魅力を広く発信する場として活動を続けている。
Instagram：@gallery_escapers

【開催情報】
展覧会名：‘See through’ Curated by GALLERY ESCAPERS　- Glass Works Exhibition –
会期：2025年9月5日（金）～9月22日（月）
会場：TABAYA United Arrows 1F GALLERY（東京都渋谷区神宮前3-28-1）
営業時間：12:00～20:00（変更・臨時休業の可能性あり。最新情報は会場へ要確認）
Instagram：@tabaya_unitedarrows