ベルナール・ヴネ「Algorithm and Chance - アルゴリズムと偶然」、Ceysson & Bénétière Tokyoで9/10(水)開幕
アートがアートである根拠を60年以上問い続けてきたBERNAR VENET(ベルナール・ヴネ)が、プログラマーの協力を得て近年取り組む未発表作を披露する機会である。1976年から絵画・木製レリーフ・鋼鉄彫刻で追究してきた「Angle」というフォルムを、生成プロセスに接続し、新たな絵画として再生させる。
アルゴリズムがもたらす可能性と、予測不能でありながら厳密に構築された秩序。その緊張のあいだに、自由やランダム性、そしてあるシステムにおける無秩序の度合いを測る物理学の概念=エントロピーを見出し、創作の源へと転化している。60年代から実践してきた「等価原理(同一内容を異なる媒体で伝える)」の延長線上に、現在のテクノロジーが据えられている点も見どころだ。

《Generative Angles Painting – Purple 9》, 2025, Bernar Venet, Courtesy of Ceysson & Bénétière
本展の背景には、初期の「Tas de charbon」や「Accidents」、さらにMoMAの展覧会「Information」(1970)で示された態度が通底している。固定化を避け、つねに開かれた状態のまま進展していく作品観は、様式を拒みつつ、フォルムの文脈と内容の重要性を主張してきた作家の一貫性を今に伝える。
生成し、進化しつづけるという現代的な活力が、東京の会場でどのように立ち上がるのか。画面に散る記号のような断片と、角度としての「Angle」が交差する瞬間を前に、鑑賞者は思考の速度と偶然のゆらぎを体感するだろう。
【作家プロフィール】
ベルナール・ヴネ(Bernar Venet)
1941年、フランス・シャトー=アルヌー生まれ。パリと南仏ル・ミュイを拠点に活動。ポンピドゥー・センター、MoMA、グッゲンハイムなど世界有数の美術館に作品が所蔵・展示され、世界各地の公共空間に設置された大規模彫刻でも知られる。
【開催情報】
展覧会名:Algorithm and Chance - アルゴリズムと偶然
アーティスト:ベルナール・ヴネ(BERNAR VENET)
会期:2025年9月10日(水)~11月1日(土)
会場:Ceysson & Bénétière Tokyo(〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目12-6)
営業時間:11:00〜19:00
休館日:日曜・月曜・祝日
観覧料:無料
URL:https://www.ceyssonbenetiere.com/ja