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「灰と薔薇のあいまに」都市をめぐるアートの旅──国際芸術祭「あいち2025」が開催中

Sep 26, 2025
愛知芸術文化センターや瀬戸市のまちなかを舞台に、2025年9月13日(土)から11月30日(日)まで開催される国際芸術祭「あいち2025」(テーマ『灰と薔薇のあいまに』)。79日間にわたり、国内外から集った62組のアーティストとともに、現代アートと舞台芸術の最前線を体感できる祭典だ。(Photo:©五十嵐大介)

「灰と薔薇のあいまに」都市をめぐるアートの旅──国際芸術祭「あいち2025」が開催中

Sep 26, 2025 - NEWS
愛知芸術文化センターや瀬戸市のまちなかを舞台に、2025年9月13日(土)から11月30日(日)まで開催される国際芸術祭「あいち2025」(テーマ『灰と薔薇のあいまに』)。79日間にわたり、国内外から集った62組のアーティストとともに、現代アートと舞台芸術の最前線を体感できる祭典だ。(Photo:©五十嵐大介)

本展では、芸術監督を務めるフール・アル・カシミのもと、「灰と薔薇のあいまに(A Time Between Ashes and Roses)」という詩的かつ示唆的なテーマが掲げられる。テーマは、現代アラブの詩人アドニスの詩集『灰と薔薇の間の時』に由来し、戦争や環境破壊といった“灰”の現実と、希望や共生を象徴する“薔薇”とのあいまにある曖昧で重層的な関係性を問いかける。国家や領土など人間中心の視点を越えて、地質学的な時間軸から未来への展望を描きたいという思考が本芸術祭には込められている。

現代美術部門では、54組の作家が新作を含む作品を展示。パフォーミングアーツには、演劇やダンスなど多様な舞台芸術を展開する9組が参加する。
注目は、世界各地の美術館で個展を行ってきたバゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメの日本初参加だ。現代美術とパフォーミングアーツの両部門で出展し、会期初日の9月13日(土)から15日(月・祝)には、名古屋市内のライブハウスにて、パレスチナのミュージシャンたちと共にパフォーマンスを行った。

国際芸術祭「あいち2025」パフォーミングアーツ バゼル・アッバス & ルアン・アブ゠ラーメ、バラリ、ハイカル、ジュルムッド『Enemy of the Sun』 Photo:相模友士郎

国際芸術祭「あいち2025」パフォーミングアーツ バゼル・アッバス & ルアン・アブ゠ラーメ、バラリ、ハイカル、ジュルムッド『Enemy of the Sun』 Photo:相模友士郎

また、漫画界のレジェンド・諸星大二郎は、本芸術祭のために描き下ろしのイラストを制作。旧銭湯の空間にインスタレーションを展開する佐々木類や、愛知県陶磁美術館のカフェ・レストラン空間を彩るBarrackのプロジェクトなど、会場ごとに独自の体験が待っている。

国際芸術祭「あいち2025」 展示風景 佐々木類《忘れじのあわい》2025 ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会 撮影:城戸保

Barrack 《Art Space & Cafe Barrack》2017- Photo: 阿野太一

諸星大二郎 「変身の森」(マッドメン)『月刊少年チャンピオン』1981

さらに、学びと共創の場を広げるラーニング・プログラムや、愛知県4市町での巡回展示「ポップアップ!」など、多層的なプログラムも魅力のひとつ。鑑賞だけにとどまらない“参加する芸術祭”として、訪れる人の五感を刺激するだろう。

キービジュアルには、五十嵐大介によるテーマ「灰と薔薇のあいまに」から想起された2枚の作品が登場。植物、動物、精霊のような存在たちが織りなす幻想風景が、本展の根底に流れる「再生と希望」をそっと照らす。

©五十嵐大介

秋の愛知で、「灰と薔薇のあいまに」に咲く、まだ名もなき物語に触れてみたくなる。

【参加アーティスト一覧】
■ 現代美術(54組)
バゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメ
メイサ・アブダラ
ジョン・アコムフラ
ロバート・アンドリュー
浅野友理子
ミルナ・バーミア
Barrack(古畑大気+近藤佳那子)
マリリン・ボロル・ボール
ミネルバ・クエバス
エレナ・ダミアーニ
アフラ・アル・ダヘリ
プリヤギータ・ディア
ソロモン・イノス
シモーヌ・ファタル
札本彩子
ハイブ・アース
ウェンディー・ヒュバート
イキバウィクルル
カマラ・イブラヒム・イシャグ
加藤泉
川辺ナホ
ムハンマド・カゼム
是恒さくら
久保寛子
シモーヌ・リー
チャヌーパ・ハンスカ・ルガー
マユンキキ
シェイハ・アル・マズロー
宮本三郎
水谷清
諸星大二郎
ムルヤナ
ワンゲシ・ムトゥ
永沢碧衣
ダラ・ナセル
小川待子
大小島真木
沖潤子
太田三郎
セルマ&ソフィアン・ウィスィ
クリストドゥロス・パナヨトゥ
panpanya
マイケル・ラコウィッツ
シルビア・リバス
西條茜
ハラーイル・サルキシアン
佐々木類
バーシム・アル・シャーケル
ヤスミン・スミス
杉本博司
冨安由真
アドリアン・ビシャル・ロハス
山本作兵衛
ロバート・ザオ・レンフイ

■ パフォーミングアーツ(9組)
バゼル・アッバス&ルアン・アブ=ラーメ、バラリ、ハイカル、ジュルムッド
AKNプロジェクト
ブラック・グレース
クォン・ビョンジュン
フォスタン・リニエクラ
マユンキキ⁺
オル太
セルマ&ソフィアン・ウィスィ
態変

【開催情報】
展覧会名:国際芸術祭「あいち2025」
会期:2025年9月13日(土)〜11月30日(日)
会場:愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか
公式サイト:https://aichitriennale.jp/

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