「アーティストの目は何をみていたか—ビュフェ、エコール・ド・パリ、そして現代アートへ」展、ベルナール・ビュフェ美術館で開催中
ベルナール・ビュフェ(1928-1999)は、しばしば時代から隔絶した天才として語られるが、実際には戦後パリのサロンに参加し、エコール・ド・パリの先達や同時代の作家たちと交流を重ねていた。本展では、そうした関わりを背景に、現代アーティストとしてのビュフェの位置を再考し、彼の作品を同時代や現代の作家と並置することで、新たな側面を浮かび上がらせる。
前期展示では、ビュフェと各作家を並べて紹介し、その関係性を探る。
「ビュフェとユトリロ」では、1951年のサロン・デ・テュイルリーに出品された《兎のエコルシェ》と《モンマルトル、アベス通りのサン=ジャン教会》が70年以上の時を経て再び並び、戦後パリの空気を伝える。「ビュフェと藤田嗣治」では、日本で制作されたビュフェの屏風と、7年ぶりに公開される藤田の長さ4mを超える屏風が対峙し、異なる表現の響きを示す。

モーリス・ユトリロ《モンマルトル、アベス通りののサン= ジャン教会》 1933 年頃、油彩・キャンバス、寄託

ベルナール・ビュフェ《兎のエコルシェ》1951 年、油彩・キャンバス

ベルナール・ビュフェ《蝶》1988 年、金箔・水彩
「ビュフェと森村泰昌」では、美術史上の名作に捧げたオマージュを軸に、メディアや時代の異なる二人のアプローチを探る。「ビュフェと杉戸洋」では、大作《snake and bird》を含むコレクションが登場し、ビュフェとの静謐で鮮やかな響き合いを見せる。

森村泰昌《肖像(ヴァン・ゴッホ)》1985 年、C プリント、©MORIMURA Yasumasa、Courtesy of ShugoArts

ベルナール・ビュフェ《自画像Ⅰ》1977 年、油彩・キャンバス

杉戸洋《snake and bird》2012 年、キャンバス・アクリル、顔料、©Hiroshi Sugito
この展覧会は、戦後から現代に至るアーティストたちが「何を見て、どこを目指していたのか」を観る者に問いかける場となっている。ビュフェが見つめた時代の景色と、今を生きるアーティストの眼差しが交差する瞬間を、ぜひ会場で体感してほしい。
【出品作家】
ベルナール・ビュフェ、ラウル・デュフィ、デイヴィッド・ホックニー、モイーズ・キスリング、レイモン・サヴィニャック、モーリス・ユトリロ、モーリス・ド・ヴラマンク、イケムラレイコ、荻須高徳、杉戸洋、須田悦弘、辰野登恵子、日高理恵子、藤田嗣治、丸山直文、村瀬恭子、持塚三樹、森村泰昌、山口晃、李禹煥
【開催情報】
展覧会名:「アーティストの目は何をみていたか—ビュフェ、エコール・ド・パリ、そして現代アートへ」
会期:前期 2025年8月2日(土)〜11月25日(火)/後期 2025年11月28日(金)〜2026年3月24日(火)
会場:ベルナール・ビュフェ美術館(静岡県駿東郡長泉町東野クレマチスの丘515-57)
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:水曜・木曜(祝休日の場合は開館し金曜休館)
観覧料:大人 1,500円、高・大学生 750円、中学生以下無料(20名以上団体は100円引き)
URL:https://www.buffet-museum.jp/exhibitions/3349/