CALM & PUNK GALLERYにて、寺沢美遊の写真展が開催中
本展は、昨年11月に韓国・ソウルのスペースCORDで開催された個展に続く新作展となり、韓国・聖水洞で撮影された事故車をモチーフにした写真作品に加え、日本で新しく制作された作品が展示される。寺沢美遊は、2021年にLAID BUGでの個展「UNOWNED」を皮切りに、自動車を被写体とした作品を発表してきた。また、タレントやセレブリティを被写体にした商業写真の分野でも東京を中心に評価を得ている。
今回の展覧会では、衝撃的な事故車の姿を鮮明に捉えた作品群が並ぶ。歪み潰れたフロントパネル、ひび割れたガラスやヘッドライト、内部が露わになった骨格部分、これらが鮮やかな印画紙に焼き付けられ、観る者の「好奇の眼差し」を刺激する。一方で制作過程においては寺沢自身の近年のメンタルヘルスへの姿勢や、事故車に対して修理を施すことで元に戻るという「再生の可能性」や憧れが投影されている。
本展タイトルの「BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR」(直訳すると「息をする、横になる、死ぬ以外はただの傷跡」)が示唆するように、この展覧会は単なる自己閉塞的なフェティシズムの露呈ではない。むしろ、誰もが思いもせず日常のエラーを引き受けてしまう事故というイベントと、それに直面した人々の「その後」を、事故車という被写体を通して追い続ける寺沢の眼差しは、幸福と不幸が紙一重のように転倒する日常の風景を捉え、モータリゼーション化した現代の社会構造と寺沢自身の視覚言語を浮かび上がらせる。
展覧会期中に販売予定のグッズ
Miyu Terasawa / E400(ZINE+MIXTAPE)
Photography:Miyu Terasawa
Mastering:Rei Taguchi (Saidera Mastering)
Edit / Deisign:Kazuma Ogata
寺沢美遊 / Miyu Terasawa
FNMNL、TOKION、WWD、Studio Voice、Numero Tokyo、Vogueなどのメディアをはじめ、広告、CDジャケット、書籍などを中心に、メジャーからアンダーグラウンドまで、国内外の様々なアーティストやセレブリティを撮影してきた写真家。2021年、東京のギャラリーLAID BUGにて個展「UNOWNED」を開催。2022年から2023年にかけて、観光庁のプログラムで広島県三原市での滞在制作および展示に参加。2024年ソウルのギャラリーCORDにて「BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR」を開催。Numero Tokyoでは連載「旅に思いを馳せるとき」にてエッセイの執筆と写真を提供。TOKIONで発表した韓国滞在記では、現地で目の当たりにした梨泰院ハロウィン事故現場の描写が反響を呼ぶ。写真家であると同時に、ラップグループ・嫁入りランドの一員であり、DJとしても活動している。
「BREATH, LIE DOWN EXCEPT FOR DYING IT’S JUST A SCAR」
日時:2025.1.24 (Fri) — 2.9 (Sun) 13:00 ~ 19:00
場所:CALM & PUNK GALLERY
住所:〒106-0031 東京都港区西麻布1-15-15
公式サイト