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桑山忠明氏の展覧会がTaka Ishii Gallery Maebashi にて開催

May 10, 2024
ニューヨークを拠点に活動し昨年8月にその生涯を閉じたアーティスト桑山忠明氏の展覧会がタカ・イシイギャラリー前橋にて2024年5月11日(土)より開催される。

桑山忠明氏の展覧会がTaka Ishii Gallery Maebashi にて開催

May 10, 2024 - NEWS
ニューヨークを拠点に活動し昨年8月にその生涯を閉じたアーティスト桑山忠明氏の展覧会がタカ・イシイギャラリー前橋にて2024年5月11日(土)より開催される。

タカ・イシイギャラリーでの2回目の個展となる本展は、絵画的な体裁を取りつつも抽象の次元を新たに開いた桑山を代表する作品が紹介される。1958年に活動拠点をニューヨークへ移して以来、一貫して還元主義的な作品を制作し続けた桑山は、61年にグリーン画廊(ニューヨーク)で個展を開催するなど、60年代、70年代のアメリカにおけるミニマル・アートの先駆者のひとりとして広く知られる作家だ。しかしながら、その世界的なミニマリスト作家としての評価は、桑山の芸術を「カラーフィールド・ペインティング」や「モノクローム絵画」に分類することで、既存の評価基準と照らし合わせているに過ぎない。既成概念を捨て去り、実験的な精神のもと作品の素材に関する探求を重ねることで、桑山は未だ誰も到達していない美を追求し続けた。

本展で展示される作品はアクリルペイントを使用していた60年代と、メタリックペイントを使用していた70年代に焦点が当てられ、時代が進むごとに絵画を超越していく様を見ることができる。1966年に発表されたシリーズ作品は、アルミニウムのストリップが填め込まれるキャンバスにアクリルペイントによって平滑に色が施されている。活動初期は日本顔料(岩絵具)をアクリル溶剤で溶いた絵具を、キャンバスに裏打ちした和紙に、平刷毛で何度も塗り重ねることで平坦な色面として仕上げる手法がとられていたが、1963年より絵具をアクリル絵具に替え、また仕上げにワニスを使用することで作品の表面はなめらかな光沢感のある面へと変わった。当時のアメリカの日常生活を彩る人工的な色彩への志向が反映された、彩度と明度の高い色彩が平等に選択されている。
さらにこの時期から取り入れ始めた金属製のストリップによって、手で描かれた線とは質的に違った鋭く張り詰めた物質的な線として作品は存在感を放っている。まるで近代機械工業の生産システムのように長方形や正方形のパネルは規格化され、1:1、1:2、1:3といったシンメトリーの造形原理のもと、1960年代末までシリーズ作品として制作された。

そして1970年代に発表された作品群は、長方形のアルミニウムストリップという要素はそのままに、円形、半円形、または長さの違うパネルの併置など、長方形の組み合わせによって異形をなすキャンバスにメタリックペイントが施された作品が揃う。メタリックグレーを主調色として、ピンクやイエロー、ブラウン、ベージュなどの淡色系の組み合わせへと変化し、またエアスプレーを起用することで手仕事の痕跡が完璧に消え去り、絵画性が削ぎ落とされた近代機械工業製品のような要素が特徴的。また桑山の全ての作品に題名がつけられることはなく、自身のメモとして制作年代、作家名、配色名が書き留められはしても、
常に「無題(untitled)」であり、作家自身も完成した作品を標準化された工業製品のように扱っていることが分かる。

© Tadaaki Kuwayama. Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo: Kenji Takahashi


Tadaaki Kuwayama
“Untitled”, 1966
Acrylic on canvas
60.9 x 60.9cm

© Tadaaki Kuwayama. Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo: Kenji Takahashi


Tadaaki Kuwayama
“Untitled”, 1972
Acrylic on canvas
222.8 cm in diameter

About 桑山忠明
1932年名古屋生まれ。2023年没。東京芸術大学日本画科を卒業後1958年に渡米し、その後ニューヨークで制作活動を継続。初期は日本画の顔料や和紙を用いた作品を制作していたが、1961年のグリーン画廊(ニューヨーク)での個展以後はアクリル絵画による単色の幾何学的形体を組み合わせた平面作品に移行し、60年代、70年代のアメリカにおけるミニマリズムを牽引。絵画から離れていくかのように表現者としての主観を表すことなく、純粋な芸術および芸術体験を志向した作品は国際的に高い評価を得ている。これまでにミース・ファン・デル・ローエ・ハウス(ベルリン、2021年)神奈川県立近代美術館 葉山(2012年)、国立国際美術館(大阪、2011年)、金沢21世紀美術館(2011年)、名古屋市美術館(2010年)、ルペルティヌム近代美術館(ザルツブルグ、2000年)、川村記念美術館、千葉市美術館(いずれも1996年)、北九州市立美術館(1985年)などで個展を開催。また、「表面、支持体、プロセス:グッゲンハイム・コレクションによる 1960年代のモノクローム」グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、2011年)、「ザ・サードマインド:アジアを見つめるアメリカの作家たち 1860-1989」グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、2009年)、「戦後日本の前衛美術」サンフランシスコ近代美術館他(1995年)、「色彩の形体」アムステルダム市立美術館(1966-67年)などのグループ展に参加。主な作品収蔵先にグッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、ニューヨーク近代美術館、オルブライト=ノックス美術館(バッファロー、ニューヨーク)、ベルリン国立美術館、チューリッヒ構成美術・具象絵画財団、東京国立近代美術館、国立国際美術館(大阪)などが挙げられる。

開催概要
会場:Taka Ishii Gallery Maebashi
住所:〒371-0022 群馬県前橋市千代田町5-9-1 まえばしガレリア 1F
会期:2024年5月11日〜6月16日
営業時間:11:00〜19:00
定休日:月・火・祝祭日

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