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田名網敬一の初となる大規模回顧展「記憶の冒険」が8月に国立新美術館にて開催

Jun 6, 2024
国際的に高い評価を得る日本人アーティスト、田名網敬の初となる大規模回顧展「記憶の冒険」が2024 年8月7日(水)~ 11 月11 日(月)の期間、国立新美術館で開催される。

田名網敬一の初となる大規模回顧展「記憶の冒険」が8月に国立新美術館にて開催

Jun 6, 2024 - NEWS
国際的に高い評価を得る日本人アーティスト、田名網敬の初となる大規模回顧展「記憶の冒険」が2024 年8月7日(水)~ 11 月11 日(月)の期間、国立新美術館で開催される。

田名網は幼少期に経験した戦争の記憶とその後に触れたアメリカ大衆文化からの影響が色濃く反映された、色彩鮮やかな作品で知られている。本展は当時の資料を含めて田名網が手掛けた膨大な作品を紹介することで、これまで包括的に捉えられることがなかった、その60 年以上におよぶ活動を「記憶」というテーマのもとに改めて紐解こうとするものである。

田名網 敬一 / 彼岸の空間と此岸の空間 ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網は1958年に武蔵野美術大学デザイン科に入学後、篠原有司男、赤瀬川原平、荒川修作らと出会い、彼らの活動に最前線で触れながら、早くも大学2 年時に日宣美展で特選を受賞。在学中からデザイナーとして仕事を依頼されるようになり、卒業後は博報堂に入社。2年ほどで退職した後はアンディ・ウォーホルによる複製を多用した作品制作に刺激を受けていたこともあり、画廊での展示に固執しない表現方法を模索するようになる。1966年にはアーティストとしての出発点ともいえる作品集『田名網敬一の肖像』を出版し、自らを「イメージディレクター」と名乗りながら、シルクスクリーンによるポスター、コラージュやアニメーション、イラストレーションや絵画などの作品を精力的に手掛けるようになっていった。

田名網 敬一 / 1967 東京③ ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一 / Wonder Woman_04 ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一 / GoldFish ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

1960年代後半からは音楽や映画、文芸に係る多くの雑誌のエディトリアルデザインを行い、1975 年には日本版『PLAYBOY』の初代アートディレクターに就任。この頃、並行して実験映像も制作し、映像作家・松本俊夫と上映会を開催するなど表現の幅を着実に広げていく。1980年代は中国への旅行と1981年に経験した約4か月にわたる入院中に見た幻覚をきっかけにして、東洋的な楽園や奇想の迷宮を思わせるようなイメージを描くようになった。1991年には京都造形芸術大学の教授にも就任し、後進の育成にも携わるようになった。

田名網 敬一 / Frederik Ruysh – 臓器の劇場 ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一 / 回廊(B) ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一 / 昇天する家(C) ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

2000年頃からはこれまで田名網自身の作品に現れていた様々なモチーフが再び組み合わされることで、より複雑でダイナミックなイメージが展開されている。田名網にとって作品制作とは過去の記憶を辿っていく作業であり、記憶が自身のなかで無意識のうちに変化していく様子を捉えようとする行為でもある。

田名網 敬一 / Chirico’s Theater ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一 / 気配 ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

87歳となった今も旺盛な創作活動を続ける田名網の存在は、世代や国を超えたアーティスト、そしてデザイナーたちを魅了し続けており、コラボレーションを求める声は後を絶ちたない。これは60年以上にわたる活動のなかで、田名網自身が常に自らの表現方法を刷新し続けてきた稀有な感性を持ったアーティストであるからだといえるだろう。また近年、田名網は海外文化を独自に受容した戦後日本の作家としても世界的に評価が進み、ニューヨーク近代美術館(アメリカ)、ウォーカー・アート・センター(アメリカ)、シカゴ美術館(アメリカ)、M+(香港)、ハンブルガー・バーンホフ(ドイツ)にも作品が所蔵されている。本展は多方面から注目が集まる田名網が現在まで探究を続けている、虚実が入り混じった記憶のコラージュのような作品世界を存分に体感していただける待望の機会となるだろう。

田名網 敬一(たなあみ けいいち)
1936 年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。アートディレクター、グラフィックデザイナー、映像作家など、そのジャンルを横断した類まれな創作活動により、他の追随を許さない地位を築いている。近年の田名網の主要な展覧会として、「パラヴェンティ:田名網 敬一」(プラダ青山店、東京、2023 年)、「マンハッタン・ユニヴァース」(ヴィーナス・オーヴァー・マンハッタン、ニューヨーク、2022 年)、「世界を映す鏡」(NANZUKA UNDERGROUND、東京、2022 年)、「Keiichi Tanaami」(ルツェルン美術館、スイス、2019 年)、「Keiichi Tanaami」(ジェフリー・ダイチ、ニューヨーク、2019 年)。また、グループ展としてポップアートの大回顧展「インターナショナル・ポップ」(ウォーカー・アート・センター、ダラス美術館、フィラデルフィア美術館、アメリカ、2015-2016 年)、「世界はポップになる」(テート・モダン、ロンドン、2015年) などがある。パブリックコレクションに、ニューヨーク近代美術館(アメリカ)、ウォーカー・アート・センター(アメリカ)、シカゴ美術館(アメリカ)、M+(香港)、ナショナル・ポートレート・ギャラリー(アメリカ)、ハンブルガー・バーンホフ(ドイツ) など多数。
公式サイト
Instagram:@keiichitanaami_official

Portrait at 「田名網敬一 ポスター・イラストレーション展」西武百貨店渋谷店にて 1968年 ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

Portrait at 「パラヴェンティ:田名網 敬一」プラダ青山店にて 2023年 ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網敬一 記憶の冒険
会期:2024 年8月7日(水)~ 11 月11 日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00 ~ 18:00
※毎週金・土曜日は20:00 まで
※入場は閉館の30 分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所 :〒106-8558 東京都港区六本木7- 22 – 2
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト
Instagram:@tanaami2024

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