“民藝のプロデューサー”吉田璋也を約300点でたどる「吉田璋也のデザイン ― 新作民藝運動がめざした未来」
吉田は耳鼻咽喉科の医師として活動する一方、1931年に鳥取で医院を開業して以降、地元の職人たちと協働し、陶磁器、木工、金工、染織、和紙など幅広い分野で新作民藝の試作と普及に取り組んだ。伝統的な手仕事を起点に、現代の生活にふさわしい日用品をデザインするとともに、販売拠点となる「たくみ工芸店」や、蒐集品を展示する鳥取民藝美術館を設立。企画、デザイン、生産、流通、販売までを一貫して手がけ、“民藝のプロデューサー”として活動した。

「吉田璋也」 撮影:池内廣吉 1965年頃 鳥取民藝美術館蔵
本展は、吉田が蒐集した民藝を紹介する序章「美の標準 ― 鳥取民藝美術館」から始まり、学生時代に柳宗悦と出会うまでをたどる第1章、新作民藝を鳥取で展開した第2章、中国での活動に焦点を当てる第3章へと続く。さらに、美術館や工芸店、割烹店を通じて民藝を暮らしへ結びつけた取り組み、柳宗悦や河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチらとの交流、鳥取砂丘や鳥取城跡などの自然・文化財保護へと広がった活動まで、全体像をたどる構成となる。

《緑釉黒釉染分皿》牛ノ戸焼、吉田璋也デザイン 1931年 鳥取民藝美術館蔵

《丸傘電気スタンド》 虎尾政次、吉田璋也デザイン 1930年代後半 鳥取民藝美術館蔵

《折畳スツール》 辰己木工、吉田璋也デザイン 1959年頃 鳥取民藝美術館蔵

《ににぐりネクタイ》 吉田慧代ほか、吉田璋也デザイン 1931年 鳥取民藝美術館蔵

《パン切り台》 茗荷定治、吉田璋也デザイン 《果物ナイフ》《パン切りナイフ》 蔵多宣夫、吉田璋也デザイン 1950年代前半 鳥取民藝美術館蔵
会場には、吉田の新作民藝の最初期のデザインに基づく《緑釉黒釉染分皿》をはじめ、《丸傘電気スタンド》《折畳スツール》《ににぐりネクタイ》《竹ショルダーバッグ》《緑釉筆立付水滴(丸型)》など、多様な素材と用途の作品が並ぶ。中国の椅子の系譜を反映した《中国風曲木肘掛椅子》など、中国滞在期の経験がその後のデザインへつながった例も紹介される。

《患者用診察椅子》 吉田璋也デザイン 1952年 個人蔵
建築や空間に対する吉田の取り組みにも焦点を当てる。特別展示「美の空間 ― 旧吉田医院・旧吉田璋也自邸」では、1932年以降、吉田自身が設計に関わった「旧吉田医院」と、日常生活における民藝の実践を示す「旧吉田璋也自邸」の一部を原寸で再現。《患者用診察椅子》《医師用車輪付椅子》など、医療の現場で必要とされる機能をもとにデザインした家具も展示する。
プロフィール
吉田璋也(1898–1972)
鳥取県鳥取市生まれ。1917年に新潟医学専門学校(現・新潟大学医学部)へ入学し、在学中に白樺派の影響を受ける。1920年に雑誌『アダム』を刊行し、同年、千葉県我孫子の柳宗悦を訪問。1927年に京都帝国大学から医学博士の学位を授与された。
1931年、鳥取市で「吉田医院 耳鼻咽喉科」を開業し、柳宗悦や河井寬次郎ら民藝運動の同人たちと交流しながら、地元の工人と新作民藝の試作に取り組む。1932年には「たくみ工芸店」を開店。1938年に軍医として中国北方へ派遣され、中国の民藝を調査研究した。帰国後は鳥取で活動を再開し、1950年に鳥取民藝美術館を新築開館。鳥取城跡や鳥取砂丘などの保護活動にも取り組んだ。1964年には鳥取民藝美術館別館として湖山池湖畔に「阿弥陀堂」を建築した。
開催情報
「吉田璋也のデザイン ― 新作民藝運動がめざした未来」
会期:2026年10月15日(木)-12月20日(日)
会場:パナソニック汐留美術館
住所:〒105-8301 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
開館時間:午前10時-午後6時(ご入館は午後5時30分まで)
夜間開館:11月6日(金)、12月4日(金)、18日(金)、19日(土)は午後8時まで(ご入館は午後7時30分まで)
休館日:水曜日(ただし12月16日は開館)
入館料:一般 1,200(1,000)円/65歳以上 1,100(900)円/大学生・高校生 700(500)円/中学生以下 無料
前売料金:( )内。ウェブサイト限定販売、有効期間は10月15日(木)~11月27日(金)
その他:障がい者手帳またはミライロIDを提示した方、および付添者1名まで無料
予約:11月28日(土)~12月20日(日)の土・日・祝日は日時指定予約が必要。平日は予約不要。当日空きがあれば入館可。混雑状況により入館方法が変更となる場合あり
主催:パナソニック エレクトリックワークス株式会社 パナソニック汐留美術館、NHK、NHKプロモーション
制作協力:NHKエンタープライズ中部
特別協力:鳥取民藝美術館
後援:港区教育委員会
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
ウェブサイト:https://panasonic.co.jp/ew/museum/
Instagram:@shiodome.museum