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サイトウマコト「みえるもの」、視ることから描くことへ──新作展がタカ・イシイギャラリー 六本木で開催中

Nov 11, 2025
タカ・イシイギャラリー 六本木にて、サイトウマコトの個展「みえるもの」が11月5日(水)から12月13日(土)まで開催されている。本展は同ギャラリーでの3回目の個展となり、近年サイトウが新たに取り組んでいる抽象的な大型ペインティング作品の新作4点が発表される。(PHOTO:Makoto Saito “[2025-1]”, 2022–2025, Oil and acrylic on canvas, 163 × 210 cm, © Makoto Saito / Photo: Kenji Takahashi, Courtesy of Taka Ishii Gallery)

サイトウマコト「みえるもの」、視ることから描くことへ──新作展がタカ・イシイギャラリー 六本木で開催中

Nov 11, 2025 - NEWS
タカ・イシイギャラリー 六本木にて、サイトウマコトの個展「みえるもの」が11月5日(水)から12月13日(土)まで開催されている。本展は同ギャラリーでの3回目の個展となり、近年サイトウが新たに取り組んでいる抽象的な大型ペインティング作品の新作4点が発表される。(PHOTO:Makoto Saito “[2025-1]”, 2022–2025, Oil and acrylic on canvas, 163 × 210 cm, © Makoto Saito / Photo: Kenji Takahashi, Courtesy of Taka Ishii Gallery)

サイトウはこれまで、ルシアン・フロイド、フランシス・ベーコン、アントナン・アルトーらの狂気を孕んだ人間の顔を題材にしてきた。コンピュータ上でそれらを解体・再構成した設計図をもとに、膨大な時間をかけて筆で描き出すポートレート作品で知られている。まるでデジタルデータがキャンバス上で受肉するかのような独特の存在感が、鑑賞者に強い印象を残す。

本展で発表される新作は、過去の制作から距離を取りつつも、その本質を引き継ぐかのように構成されている。ポートレートの断片データを幾重にも重ねることで、風景のような像を探り出すプロセスを、サイトウは「風景を探す旅」と語る。それは視覚の記憶と無意識が交差する、静かな対話のようでもある。

Makoto Saito “fence [2025-1]”, 2022–2025, Oil and acrylic on canvas, 163 × 210 cm, © Makoto Saito / Photo: Kenji Takahashi, Courtesy of Taka Ishii Gallery

これまでの作品では「見る」という行為そのものを網点で構成された絵画として表現してきたサイトウが、今回初めて「描く」という手の行為を作品に取り入れたことで、その身体性と線の揺らぎが画面に現れている。

情報があふれ、欲望が加速する現代にあって、サイトウの近作は現実から距離を取り、より原初的な主題へと向かう傾向を強めている。それは作家自身が「魂の救済」と呼ぶ営みでもある。テクノロジーに囲まれた日常からいったん離れ、人が本来もっていた感覚に立ち返らせてくれるこれらの作品は、私たち自身の記憶や感覚をもそっと照らし返してくる。

 

【プロフィール】
サイトウマコト
1952年福岡県生まれ。東京在住。主な個展に「サイトウマコト 臨界-Criticality-」(北九州市立美術館、2019年)、「サイトウマコト展:SCENE[0]」(金沢21世紀美術館、2008年)など。作品はヴィクトリア&アルバート美術館(ロンドン)、サンフランシスコ近代美術館、ニューヨーク近代美術館、フィラデルフィア美術館、金沢21世紀美術館、北九州市立美術館、東京国立近代美術館などに収蔵されている。

【開催情報】
展覧会名:サイトウマコト「みえるもの」
会期:2025年11月5日(水)〜12月13日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー 六本木(〒106-0032 東京都港区六本木 6-5-24 complex665 3F
開館時間:12:00〜19:00
休館日:日・月・祝祭日
観覧料:無料
URL:https://www.takaishiigallery.com/jp/
Instagram:@takaishiigallery

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