「Return to Stone」11/21(金)よりart cruise gallery by Baycrew’sで開催、村松英俊が“石に還す”記憶と存在
本展は、村松が大学院時代から一貫して追い続けてきたテーマ——“ものに宿る気配”——に立脚している。人の記憶や時間の痕跡が染み込んだ道具やオブジェを石に置き換えることで、失われつつある関係性を未来へと繋ぎとめようとする試みだ。
古道具屋での出会いや、日々の生活の中で「そろそろ石にしよう」と感じた直感を起点に、バイクやスケートボード、ヘッドホンといった身近な道具が彫刻としてかたちを帯びていく。それらは単なるオブジェではなく、作家の記憶や憧れと結びついた“存在のかたち”そのものであり、ものと人との関係を見つめ直す眼差しが通底している。




展覧会タイトル「Return to Stone」には、「すべての起源は石にある」という作家の根源的な思考が込められている。鉄もガラスも、もとは鉱石から生まれ、やがてまた石へと還っていく——そうした物質の循環を捉えた作品群は、過去・現在・未来を貫く時間の流れを静かに浮かび上がらせる。
ものを「残す」ではなく、「変容させる」ことで、記憶と存在の新たなかたちに触れられる時間が待っている。
【プロフィール】
村松英俊(むらまつ・ひでとし)
1988年静岡県生まれ。2016年、東北芸術工科大学大学院彫刻領域修了。モノや道具の一部を大理石などの石で再構築し、石がモノの形をとるような彫刻作品を制作。主な展覧会に、2025年『return to stone』(日本橋高島屋美術画廊X)、2024年『time』(CANDYBAR GALLERY)、2024年・2023年『マツモト建築芸術祭』(長野)など。
【開催情報】
展覧会名:Return to Stone
会期:2025年11月21日(金)〜2026年1月12日(月・祝)
会場:art cruise gallery by Baycrew’s
所在地:東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F SELECT by BAYCREW’S内
開館時間:11:00〜20:00(19:30最終入場)
観覧料:無料