シリコンや人工毛髪を用いて、動物と人間、自然と人工の境界を曖昧にする立体作品で知られるピッチニーニ。科学技術や環境問題を背景に、「共感」や「他者性」を主題とし、生命のつながりや多様性を問いかけてきた。一方、ニミュは日常と奇妙な空想の狭間を描き、人間の本質や、個人と集団、真実と虚構の関係性、偶発的なアイデンティティ形成のプロセスを描き出す絵画作品を手がけてきた。

「生命と死」「現実と虚構」「自然と人工」「動物と人間」「自己と他者」——異なるメディウムで活動する二人に共通するのは、境界の曖昧さそのものに迫る視線だ。本展では、ピッチニーニの代表作《The Coup》、そしてニミュによる新作大型ペインティング《The Shared Frame》を中心に、立体と絵画によるインスタレーションが展開される。

《The Coup》 2012 H116 x W60 x D55 cm　©︎Patricia Piccinini Courtesy of AKIINOUE

《The Shared Frame》 2025 H194 x W162 x D4 cm　©︎Nimyu Courtesy of AKIINOUE

作品に登場する人物や動物たちのまなざしは、鑑賞者に対して「わたし」と「あなた」の関係性をそっと問いかける。それは静かでありながら、見る者の感情や意識を揺さぶる対話のはじまりでもある。

《The Pacifist》 2023 H35 x W19 x D25 cm　©︎Patricia Piccinini Courtesy of AKIINOUE

《Bone and Fruit, Unclear Waves - Woman with Horse by The Sea》 2025 H91 x W116.7 x D2.5 cm　©︎Nimyu Courtesy of AKIINOUE

《Haven》2022 H28 x W19 x D18 cm　©︎Patricia Piccinini Courtesy of AKIINOUE

《The Whisperer 》 2025 H27.3 x W22 x D2.5 cm　©︎Nimyu Courtesy of AKIINOUE

オーストラリアから来日するピッチニーニとニミュを囲んだオープニングレセプションは、8月30日（土）17時から19時に開催。翌8月31日（日）15時からは、金沢21世紀美術館の宮澤佳奈氏をモデレーターに迎えたギャラリートークも行われる。アーティスト本人の言葉に耳を傾けられる貴重な機会をお見逃しなく。

【作家プロフィール】
パトリシア・ピッチニーニ
シエラレオネ生まれ、オーストラリア在住。2003年に第50回ヴェネツィア・ビエンナーレにオーストラリア代表として参加。2018年にはクイーンズランド州立美術館で大規模回顧展「Curious Affection」を開催。メルボルンのRMIT大学にて実務教授を務める。
Instagram：https://www.instagram.com/patricia.piccinini/

ニミュ
中国出身、東京を拠点に活動。中央美術学院卒業後、ニューヨーク・アカデミー・オブ・アートでMFA取得。2012年に初個展開催以降、世界各地で作品を発表。超現実的イメージで日常と幻想の境界を描き出す。
Instagram：https://www.instagram.com/nimyu.art/

【開催情報】
展覧会名：ミーアンドユー
会期：2025年8月30日（土）– 2025年9月27日（土）
会場：AKIINOUE（東京都渋谷区代官山町2−3 THE ROWS 2F）
開館時間：11:00–19:00
休館日：日・月・祝
オープニングレセプション：8月30日（土）17:00–19:00
ギャラリートーク：8月31日（日）15:00–16:00
入場：無料
URL：https://akiinoue.com/ja/
Instagram:https://www.instagram.com/akiinoue_tokyo/