プシュパマラ Nの個展「Dressing Up: Pushpamala N」、シャネル・ネクサス・ホールで8/17(日)まで開催中
本展は、昨年に始動した“アジアの写真アーティスト”を紹介するシリーズの第二弾であり、昨年の中国に続き、今回はインドにフォーカス。5月まで京都で開催されたKYOTOGRAPHIE展に続き、東京・銀座に舞台を移しての開催となる。

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彫刻家としてキャリアをスタートさせたプシュパマラ Nは、1990年代半ばからフォト・パフォーマンスやステージド・フォトによる表現を始め、さまざまな役柄を演じながら物語性のある作品を制作してきた。その表現は、女性像や国民国家といった主題に向き合い、観客に再考を促すものとなっている。
シャネル・ネクサス・ホールでは、シネマトグラフィーをテーマにした代表作「Phantom Lady or Kismet(ファントム レディ あるいはキスメット)」、「Return of the Phantom Lady(帰ってきたファントム レディ)」、「The Navarasa Suite(ナヴァラサ スイート)」の3シリーズを紹介する。

Phantom Lady or Kismet, No.4, 1996-1998 ©Pushpamala N
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Phantom Lady or Kismet, No.19, 1996-1998 ©Pushpamala N
・「Phantom Lady or Kismet」(1996–1998)は、モノクロ写真で構成された冒険譚。仮面のヒロイン「ファントム レディ」が双子の妹を救出すべくムンバイを奔走するという物語で、1930〜40年代のインド映画やコミックからの影響が見て取れる。

Return of the Phantom Lady, No.5, 2012 ©Pushpamala N
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Return of the Phantom Lady, No.7, 2012 ©Pushpamala N
・「Return of the Phantom Lady」(2012)は、ファントム レディというキャラクターや自身の過去作品を改めて見つめ直し、再構築するシリーズである。現代ムンバイを舞台に、都市再開発によって失われつつある風景を背景にしながら、少女の救出劇が繰り広げられる。

≪Shringara/恋情≫ The Navarasa Suite from the series Bombay Photo Studio, 2000-2003 ©Pushpamala N
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≪Bhayanaka/恐怖≫ The Navarasa Suite from the series Bombay Photo Studio, 2000-2003 ©PushpamalaN
・「The Navarasa Suite」(2000–2003)は、インド古典美学の「ナヴァラサ(9つの感情)」をテーマにしたセルフ・ポートレイト。1950〜60年代の映画スターであり写真家でもあったJ H タッカーのフォトスタジオで撮影され、ファンタジーや物語性を強調する、初期バロック様式の演出が印象的だ。
3つのシリーズに共通して見られるのは、写真というメディアを通じて、自身の身体を使いながら、歴史やジェンダー、表象、記憶といったテーマに向き合う姿勢だ。仮面をつけたヒロインを演じるプシュパマラ Nの作品は、現実のように見える写真でありながら、そのフィクション性を通じて、見る者に社会や歴史への問いを静かに投げかけてくる。
【アーティストプロフィール】
プシュパマラ N(Pushpamala N)
1956年、インド・バンガロール(現ベンガルール)生まれ。彫刻家として活動を始め、1990年代半ばからフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの手法を用いた作品を展開する。自身がさまざまな役柄を演じるセルフ・ポートレイト形式を通じて、女性像の構築や国民国家の枠組みといった主題に向き合ってきた。
「現代インド美術界で最も人を楽しませながら既成概念を打破するイコノクラスト」とも称される彼女は、歴史や社会の構造に対して演じることを通じた問いかけを続けている。作品はMoMA(ニューヨーク)、テート・モダン(ロンドン)、MUCEM(マルセイユ)など世界各地で展示されており、2019年のチェンナイ・フォト・ビエンナーレではアーティスティック・ディレクターも務めた。
【開催情報】
展覧会名:Dressing Up: Pushpamala N
会期:2025年6月27日(金)〜8月17日(日)
開館時間:11:00〜19:00(最終入場18:30)
※7/24(木)は17:00閉館(最終入場16:30)
休館日:会期中無休
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング 4F)
入場料:無料・予約不要
主催:シャネル・ネクサス・ホール
URL:https://nexushall.chanel.com/program/2025/dressingup/