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「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」10/24(土)開幕 光と大気の先に広がるターナーの現在地

Oct 8, 2026
国立西洋美術館では、2026年10月24日(土)から2027年2月21日(日)まで「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」を開催する。世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館から、油彩画や水彩画など80点以上が集う大回顧展となる。

「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」10/24(土)開幕 光と大気の先に広がるターナーの現在地

Oct 8, 2026 - NEWS
国立西洋美術館では、2026年10月24日(土)から2027年2月21日(日)まで「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」を開催する。世界最大のターナー・コレクションを誇るロンドンのテート美術館から、油彩画や水彩画など80点以上が集う大回顧展となる。

J.M.W. ターナー(1775-1851)は、移ろう光や大気、荒れ狂う海と空、産業革命期に立ち現れた蒸気や煤煙まで、一定のかたちにとどまらない世界を描き続けた英国ロマン主義を代表する画家だ。その表現は風景画の可能性を大きく押し広げるとともに、当時の哲学や芸術で重視されていた自然の「崇高」を見る者に経験させるものとしても評価されてきた。

「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」では、ターナーの作品をテーマごとに再編し、ゆるやかな時系列に沿ってその画業をたどる。さらにオラファー・エリアソン、リチャード・ロング、ケイティ・パターソン、コーネリア・パーカー、ヴォルフガング・ティルマンス、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマンら現代および20世紀のアーティストの作品を併置。ターナーが見つめた自然や歴史、光、海といった主題が、時代を越えて別の輪郭を帯びていく。

展覧会は、月光を扱う序章「暗い部屋」から始まる。自らの画廊を訪れた人々を薄暗い部屋で待たせることで、鑑賞者がまばゆい絵画の光に出会う環境を整えていたとも伝えられるターナー。その逸話を思わせる空間には《月光、ミルバンクでの習作》や日食を記録したスケッチブックが並び、ケイティ・パターソンの《Totality(皆既食/全体性)》が呼応する。自然現象を見つめるまなざしが、200年以上の時間を隔てて重なっていく導入だ。

J.M.W. ターナー《月光、ミルバンクでの習作》 1797年展示 油彩/板(マホガニー) テート美術館 Photo: Tate

ケイティ・パターソン《Totality(皆既食/全体性)》
2016年 ミクストメディア 個人蔵
Courtesy of a private collection and Ingleby Gallery © Katie Paterson Photo © GRIMALDI FORUM MONACO 2024 - Eric Zaragoza
※'Turner's Sublime Legacy, in dialogue with contemporary artists' (Grimaldi Forum, Monaco, 2024) 展示風景より

英国の風景を歩きながら記録した初期作品を展示する章では、ターナーにとって戸外での身体的な経験が制作の核にあったことにも触れられる。現地で描いた習作をアトリエへ持ち帰り、記憶と想像力を重ねながら絵画へと変えていく。その姿勢に並ぶのが、歩行し、印をつけ、記録することを芸術実践へとつなげたリチャード・ロングだ。それぞれの方法は異なりながら、風景と身体のあいだに生まれる感覚が静かに響き合う。

ターナーが生涯で6度訪れたアルプスも、「崇高」をめぐる重要な舞台となる。《グリゾン州の雪崩》では、人の姿が存在しない画面に雪崩の圧倒的な力が広がる。一方、同じメール・ド・グラス氷河を1999年と2019年に撮影したオラファー・エリアソンの《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》からは、20年間で変化した氷河の姿が浮かび上がる。自然を制御不能なものとして見つめたターナーと、人間の活動によって変わりゆく自然を記録するエリアソン。ふたつの視線が交差する場所には、気候変動をめぐる現在の感覚も入り込んでくる。

J.M.W. ターナー《グリゾン州の雪崩》 1810年展示 油彩/カンヴァス テート美術館 Photo: Tate

オラファー・エリアソン《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》 2019年 Cプリント(30組)226.6 x 478 x 4 cm Installation view: Tate Modern, London Photo: Michael Waldrep / Studio Olafur Eliasson Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York © 2019 Olafur Eliasson

オラファー・エリアソン《溶ける氷河のシリーズ 1999/2019》 2019年 Cプリント(30組) 各31 x 91 x 2.4cm Installation view and detail: Guggenheim Museum Bilbao, 2020 Photo: Erika Ede Courtesy of the artist; neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York © 2019 Olafur Eliasson

歴史画やヴェネツィア、そして海へと展示は続く。ターナーが3度訪れたヴェネツィアでは《ヴェネツィア――サンタ ・ マリア ・ デッラ ・ サルーテ聖堂》などが紹介され、ハワード・ホジキンの作品や、ターナーに影響を受けた日本の近代画家・栗原忠二の絵画も並ぶ。英国人画家の記憶が日本へどのように届いたのか、その小さな軌跡にも目が向けられる。

J.M.W. ターナー《ヴェネツィア――サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》 1844年展示 油彩/カンヴァス  テート美術館
Photo: Tate

なかでも、ターナーが残した作品群の半数以上を占める海景画は見逃せない。外洋、捕鯨船、漁船、難破船、海戦。人間の営みと自然の力が交錯する海を、ターナーは繰り返し描いた。《捕鯨船エレバス号に万歳!もう一頭獲ったぞ!》では、光に満ちた海と空の境界がほどけ、船や人々の姿さえ色彩のなかへ溶けかけている。さらに通称《奴隷船》の版画とオトリス・グループの《Hydra Decapita(ヒュドラの斬首)》を通して、奴隷貿易の歴史や権力、移動、人間の搾取をめぐる問いも現在へと接続される。

J.M.W. ターナー《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》 1846年展示 油彩/カンヴァス  テート美術館 Photo: Tate

オトリス・グループ《Hydra Decapita(ヒュドラの斬首)》 2010年 HDヴィデオ、プロジェクション、カラー、サウンド
テート美術館 Courtesy and copyright The Otolith Group. Photo: Tate

終盤では、晩年のターナーがたどり着いた、光と大気そのものへ近づくような作品群に出会う。《荒海とイルカ》《三つの海景》などとともに、マーク・ロスコやバーネット・ニューマンの作品を展示。美術史家ロバート・ローゼンブラムが「抽象的崇高」という概念の根源にロマン主義の画家たちを位置づけた視点を手がかりに、ターナーと後世の抽象絵画との関係を探る。ただし「抽象の先駆者」という後代の枠組みに回収するのではなく、ターナー自身が生きた時代や制作の条件にも立ち返る構成となっている。

J.M.W. ターナー《荒海とイルカ》 1835-40年頃 油彩/カンヴァス テート美術館 Photo: Tate

J.M.W. ターナー《三つの海景》 1827年頃 油彩/カンヴァス テート美術館 Photo: Tate

光と闇、静けさと荒々しさ、美しさと恐ろしさ。その境界が揺らぐ画面を前に、「見る」という感覚そのものが少しずつ研ぎ澄まされていく――そんな時間を「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」で体験したい。

《ターナーの肖像》(J.M.W. ターナーの原画にもとづくウィリアム・ホールの版刻) 1859-61年  エングレーヴィング/紙 テート美術館 Photo: Tate

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851年)
「光の画家」とも呼ばれる、英国ロマン主義を代表する芸術家。10代から画家として頭角を現し、26歳で英国美術界の最高権威だったロイヤル・アカデミーの正会員となった。自然への鋭敏な感覚と実験的な絵画表現によって風景画のあり方を一変させ、後世のモネら印象派の試みに先行した画家ともいわれている。

開催情報
展覧会名:テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話
会期:2026年10月24日(土)-2027年2月21日(日)
会場:国立西洋美術館
住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30-17:30 金曜・土曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、11月24日(火)、12月28日(月)-2027年1月1日(金・祝)、1月12日(火)
※11月23日(月・祝)、2027年1月11日(月・祝)は開館
※2027年1月12日(火)-2月21日(日)の期間、国立西洋美術館 常設展は閉室

観覧料(税込):
一般 当日券2,400円/前売券2,200円
大学生 当日券1,500円/前売券1,300円
高校生 当日券1,100円/前売券900円
中学生以下、障害者手帳をお持ちの方及び付添者1名は無料

主催:国立西洋美術館、テート美術館、朝日新聞社、テレビ朝日
巡回:2027年3月13日(土)-6月27日(日)、大阪中之島美術館
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

公式サイト:https://turner2026-27.exhibit.jp/
Instagram:@turner2026_27
X:@turner2026_27

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