Art Week Tokyoが開催、展覧会と音楽プログラムのハイライトを発表
今年のAWTには、39のギャラリーと13の美術館およびインスティテューションが参加する。
時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」 国立新美術館(六本木)

椿昇《エステティック・ポリューション》1990年 Photo by Taku Saiki.
(C) Noboru Tsubaki, courtesy the 21st Century Museum of Contemporary Art,
Kanazawa and the National Art Center, Tokyo.
平成が始まった1989年から2010年にかけて、日本でどのような美術が生まれ、日本からどのような表現が発信されたのか、この変化に富んだ時代を、国内外の50組超のアーティストの実践を通じて検証する展覧会。同館のアジア地域におけるパートナー美術館である香港M+との初の協働企画展。本展でキュレーターを務めるM+アーティスティックディレクターのドリアン・チョンは、AWT TALKSの新企画「ディレクターズ・カンバセーション」でモデレーターを務める。
「笹本晃 ラボラトリー」 東京都現代美術館(清澄白河)

笹本晃《Point Reflection(Video)》2023年
(C) Aki Sasamoto, courtesy Take Ninagawa and the Museum of Contemporary Art Tokyo.
自ら設計・構成した彫刻や装置をインスタレーション空間に配置し、それらをスコアのように用いて即興的なパフォーマンスを展開する作品で知られる笹本晃。本展は彼女にとって初のミッドキャリア回顧展である。私小説的な語りをユーモラスに絡めながら深遠な問いを投げかける初期の代表作から、キネティックな要素が強まる最新作まで、約20年のキャリアを振り返る。
柚木沙弥郎「永遠のいま」 東京オペラシティ アートギャラリー(初台)

柚木沙弥郎《木もれ陽》2019年
Collection of the Matsumoto City Museum of Art. Courtesy Gallery Tom.
2024年に101歳の生涯を閉じた染色家、柚木沙弥郎の創作の全貌をとらえる展覧会。日本民芸運動の創始者・柳宗悦との出会いをきっかけに創作活動を始め、鮮やかな⾊彩とユーモラスな造形で和の民俗とモダニズムの双方に通じる独自の世界を築いた柚木。挿絵やコラージュなど、ジャンルを超えて活動した彼の75年を振り返ると共に、縁のあった都市や地域をテーマに加え、柚木を巡る旅へと誘う。
Chim↑Pom from Smappa!Group「穴の中の穴の中の穴」 アノマリー(天王洲)

Chim↑Pom《ビルバーガー》2016年 Courtesy the artist and Anomaly.
Chim↑Pom from Smappa!Groupは、都市のインフラに口を開けるマンホールや下水の穴といった多層的な「穴」と、宇宙デブリなどの「屑や瓦礫」テーマに個展を開催。「不要」や「欠如」「不可視」が孕む想像力のポテンシャルを批評的に提示する。なお、AWTのポップアップバー「AWT BAR」では本展をインスピレーションに考案されたアーティストカクテルを楽しむことができる。
森栄喜「Moonbow Flags」 ケンナカハシ(新宿)

森栄喜〈Moonbow Flags〉シリーズより《Untitled》2025年
(C) Eiki Mori, courtesy the artist and Ken Nakahashi.
ジェンダーや家族形態の多様性などをテーマに、写真や映像、パフォーマンスなど多彩な作品を発表してきた森栄喜。2年ぶりの個展では、過去10年に撮影された未発表のポートレートと、手描きの白い図形をフォトグラム技法で重ねた新作を発表。国家や権力の象徴である「旗」と、日常の壁紙やタイルの模様を融合し、既存のシンボルの意味を再解釈する。
フン・ティエン・ファン「Full of debt」 ミサコ&ローゼン(大塚)

フン゠ティエン・ファン《Volkswagen 6》2025年 Courtesy Misako & Rosen.
日用品や文化的アイコンを引用した彫刻や映像作品で知られるベトナム系ドイツ人アーティストのフン・ティエン・ファン。そのローファイで風刺的なユーモアと軽やかさを宿す作品で、ジェンダーにまつわるステレオタイプ、ディアスポラの家族史、世代間の記憶、若さ、芸術における労働などの普遍的なテーマに触れている。本展は彼女の日本での初個展となる。

開催情報
会期:2025年11月5日(水)〜9日(日)10:00〜18:00
会場:都内の参加美術館・ギャラリー、AWT BARほか各プログラム
主催:一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:Art Basel(アートバーゼル)
特別協力:文化庁
料金:AWT BUSの乗⾞無料。
参加ギャラリーの⼊場無料。参加美術館ではAWT会期中に限り所定の展覧会にてAWT特別割引適⽤。
AWT FOCUSの入場料(展覧会カタログ付):一般1,800円(前売1,500円)、学生・子ども無料、一般ペア2,800円(前売のみ)、学⽣・⼦ども無料。
また、AWT開催中には無料の「AWT BUS」が運行し、ギャラリー入場は無料、美術館では一部展覧会にて特別割引が適用される。
国内外のアートファンが集う南青山のポップアップバー、AWT BAR。建築家の松沢一応が設計した空間で、bricolage bread & co.のプロデューサーであり、ミシュラン三つ星レストランの「レフェルヴェソンス」のエグゼクティブシェフとして知られる生江史伸による限定フードや、3人のアーティストとのコラボレーションカクテルを楽しむことができる。さらに、会期中は耳で楽しむアートも登場する。
サウンドインスタレーション Sound Installation for Ichio Matsuzawa’s Space

Photo by Dai Fujimura
サウンドインスタレーションは、空間と音によって構成されるアートのかたち。2025年のAWT BARでは、リズムアンサンブル・goat の主宰でありYPYとしての活動でも知られる日野浩志郎が、松沢一応が「浮かびあがる空間」として設計したAWT BARの空間と呼応する音響体験を生み出している。バーの各所に設置されるのは、今回のために制作された回転式の超指向性スピーカー。それらが動きを備えることにより、反射音が常に位置を変えながら響き、刻々と変化するサウンドスケープを体感できる。
ライブパフォーマンスDance for Ichio Matsuzawa’s Space

柿崎麻莉子 Photo by Yurie Nagashima (left) , リエル・フィバック Photo by Fuji Tamaki (right)
アートウィーク東京の会期中、「AWT BAR」では複数回にわたってパフォーマンスも開催される。ダンスを披露するのは、世界各国のダンスカンパニーで経験を積み、国際的に活動を続ける柿崎麻莉子とリエル・フィバック。作曲およびサウンドディレクションは日野浩志郎が担当する。光や風、人の動きに呼応して変化するバーの環境に反応する二人の身体表現が重なり、その瞬間にしか生まれない体験を生み出す。
AWT BAR開催概要
会場:港区南⻘山5-4-30 emergence aoyama complex
会期:11月5日(水)〜9日(日)
営業時間:10:00-22:30 (ラストオーダー22:00)
ライブパフォーマンス:
11月8日(土)14:00〜/16:00〜/18:00〜
11月9日(日)15:00〜/17:00〜/19:00〜
参加費:無料/予約不要
※ サウンドインスタレーションは常時展開