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「ミケル・バルセロ: 信楽焼」荒ぶる土が呼吸する—ファーガス・マカフリー東京で開催

Sep 12, 2025
スペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルセロの個展「ミケル・バルセロ: 信楽焼」が、ファーガス・マカフリー東京で開催される。会期は2025年9月9日(火)から12月13日(土)まで。

「ミケル・バルセロ: 信楽焼」荒ぶる土が呼吸する—ファーガス・マカフリー東京で開催

Sep 12, 2025 - NEWS
スペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルセロの個展「ミケル・バルセロ: 信楽焼」が、ファーガス・マカフリー東京で開催される。会期は2025年9月9日(火)から12月13日(土)まで。

本展は、2023年に信楽の陶芸家・古谷和也との共同制作から生まれた14点を初披露する。古谷の工房で成形された伝統的な壺のフォルムに、土が乾かぬうちにバルセロが即興的な変容を与え、レリーフとともに有機的な表情を立ち上げていく。焼成は古谷自らが築いた穴窯で行われ、季節や気候、窯詰めの物理条件に大きく左右されながら、1,300度超の炎に四日間晒されることで信楽特有の景色と色彩が生まれたという。 

Fish and Crabs(魚と蟹)2023 Clay(陶) 19.29 x 17.72 x 18.5 inches (49 x 45 x 47 cm) Photo by Ryuichi Maruo

Butterflies(蝶々)2023 Clay(陶) 14.57 x 14.57 x 16.54 inches (37 x 37 x 42 cm) Photo by Ryuichi Maruo

Fish(魚)2023 Clay(陶) 14.17 x 14.17 x 14.57 inches (36 x 36 x 37 cm) Photo by Ryuichi Maruo

土への眼差しは、バルセロが1994年にマリ滞在中に出会ったドゴン族の伝統的な土器にさかのぼる。以後、土は絵画・彫刻・陶芸へと貫かれ、マヨルカ島パルマの聖体礼拝堂の大規模レリーフ(2001–07年)や、ジュネーブ国連会議場のドーム天井(総面積1,600㎡)へとスケールを拡張してきた。今回の作品群にも、アフリカの荒野やバレアレス諸島の海中世界と響き合うモチーフが頻出し、蟹が捻り出され、虫が削り込まれ、蝶が羽ばたき、魚が波打つ。土の存在感が、神話や自然、人の存在と重なり合う。

若き日にサンパウロ・ビエンナーレ(1981年)とドクメンタ7(1982年)で注目され、ブルーノ・ビショフベルガーやレオ・カステリのギャラリーで国際的評価を確立したバルセロ。その出発点にあるのは「すべての絵画は土から生じる」という自覚だ。信楽の土と炎は、その原点をいま、この場所で更新してみせる。

Funerary Urn(骨壷)2023 Clay(陶) 13.58 x 13.19 x 15.16 inches (34.5 x 33.5 x 38.5 cm) Photo by Ryuichi Maruo

Figs et cetera,(イチジクなど)2023 Clay(陶) 12.99 x 12.99 x 14.37 inches (33 x 33 x 36.5 cm) Photo by Ryuichi Maruo

Skull with Worms(頭蓋骨と虫)2023 Clay(陶) 12.99 x 12.99 x 14.96 inches (33 x 33 x 38 cm) Photo by Ryuichi Maruo

土肌に残る指の圧、灰の降りかかり、火の走り。作品の前に立てば、窯の奥で生まれた一瞬の呼吸が、見る者の感覚を静かに包み込む。

【プロフィール】
ミケル・バルセロ
1957年、マヨルカ島フェラニッチ生まれ。現在はマヨルカとパリを拠点に活動。ルーヴル美術館で展示を行った最年少作家。第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009年)スペイン館代表、ドクメンタ7(1982年)参加。国立国際美術館[大阪](2021年・巡回)、グッゲンハイム美術館ビルバオ(2005年)、ポンピドゥー・センター(1996年)などで回顧展を開催。陶芸に焦点を当てた展覧会も多数。 
Instagram:@miquel.barcel0

【開催情報】
展覧会名:ミケル・バルセロ: 信楽焼
会期:2025年9月9日–12月13日
会場:ファーガス・マカフリー東京
開廊時間:11:00〜19:00
休廊:日、月、祝 [最終日11月9日(日)はアートウィーク東京のため開廊]
観覧料:無料
URL:https://fergusmccaffrey.com/
Instagram:@fergusmccaffrey

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