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福田尚代「日な曇り」、YOKOTA TOKYOにて初個展を開催、書物と記憶の気配を辿る静謐な空間

May 21, 2025
YOKOTA TOKYOでは、アーティスト福田尚代による個展「日な曇り」が、6月13日(金)まで開催中だ。

福田尚代「日な曇り」、YOKOTA TOKYOにて初個展を開催、書物と記憶の気配を辿る静謐な空間

May 21, 2025 - NEWS
YOKOTA TOKYOでは、アーティスト福田尚代による個展「日な曇り」が、6月13日(金)まで開催中だ。

福田尚代は、紙、糸、本、文房具といった日常的な素材に、書く、縫う、消す、読むといった行為を繰り返しながら作品を制作してきた。ことばになる以前の「かたち」をすくい上げるように折られ、ほぐされ、削がれ、綴じられたものたちは、記憶の底にたゆたう気配や、過ぎ去った時間を内包しながら、目に見えるものとは異なる位相で立ち上がる。

展覧会タイトルの「日な曇り」とは、やわらかな光が差し込みつつも、空に薄く雲がかかった、晴れと曇りのあわいにある気象を表す言葉。その微かな明るさと翳りが共存する空気感は、福田の作品世界とも深く呼応している。本展は、書物の記憶を宿すもの、漂う断片、ことばの影をとどめたかたち、静謐な気配など— —福田の創作に通底するいくつかの造形を、自然光が差し込むギャラリー空間に織り込む試みでもある。

《書籍の魂 #03》2013-2025

《漂着物/ひとすくい》展示風景

《書物の骨『漂泊の魂 (クヌルプ)』》2003-2010

《無題》 1989

福田尚代(ふくだ・なおよ)
1967 年埼玉県生まれ。東京藝術大学美術研究科油画専攻修了。
本や文房具、郵便物、ハンカチなど、日々の傍らにあった私物に繊細な手仕事をほどこし、彫刻、コラージュ、刺繍、折り込みなどの技法により作品を制作している。
また、始まりから読んでも終わりから読んでも同音となる「回文」の詩作にも取り組み、多くの詩集を刊行してきた。音の粒が交差し、反転しながら立ち上がるその詩は、言葉の奥に眠る
気配を静かにすくい上げていく。
福田の作品は、存在と不在、儚さと確かさのあわいに佇みながら、言葉と物質のあいだにひそむ感覚を、造形と詩の往還のなかで静かに問いかけている。

主な展覧会への参加:
「アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち」(国立新美術館、2010 年)
「MOT アニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」(東京都現代美術館、2014 年)
「福田尚代 言葉の在り処、その存在」(うらわ美術館、2016 年)
2020 年以降、DIC 川村記念美術館「ふたつのまどか―コレクション×5 人の作家たち」、「1990–2025 作品、建築、自然」、東京都庭園美術館「旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる」、うらわ美術館「雰囲気のかたち―見えないもの、形のないもの、そしてここにあるもの」など、各地の美術館での展覧会に参加している。

主な著作:
『福田尚代作品集 2001-2013 慈雨百合粒子』(2014 年、小出由紀子事務所)
『ひかり埃のきみ』(2016 年、平凡社)
『わたしたち、言葉になって帰ってくる』(2020 年、私家版)

福田尚代 個展「日な曇り」
会場:YOKOTA TOKYO
住所:〒105-0022 東京都港区海岸1-15-1
会期:2025年5月19日(月)~6月13日(金) ※土日休
開廊時間:11:00–17:00
公式HP:https://yokotatokyo.com/exhibition.html
Instagram:@yokota_tokyo

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