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TEZUKAYAMA GALLERYにて、およそ5年ぶりに3回目の加藤智大の個展「“binary”」を開催

May 7, 2024
TEZUKAYAMA GALLERYにて、およそ5年ぶりに3回目の加藤智大の個展「“binary”」を5/17(金)から開催する。

TEZUKAYAMA GALLERYにて、およそ5年ぶりに3回目の加藤智大の個展「“binary”」を開催

May 7, 2024 - NEWS
TEZUKAYAMA GALLERYにて、およそ5年ぶりに3回目の加藤智大の個展「“binary”」を5/17(金)から開催する。

加藤智大は、2006年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了後、金属加工会社で腕を磨きながら作家としての地歩を固めた。2013年、第16回岡本太郎現代芸術賞展にて発表した「鉄茶室轍亭(2012年制作)」が岡本太郎賞を受賞。同年に岡本太郎記念館で行われた個展「太陽と鉄」では、牢獄を模した自身の作品の中に、館の所蔵品である岡本太郎の作品を投獄するという、強烈な視覚体験と批評性に富んだインスタレーションを発表。

重々しい鉄格子に囚われた作品は鑑賞する事を阻害され、「モノ」としての脆弱性が浮き彫りとなる。また、牢獄という制度を模倣する事で、鉄という物質が持つ根源的な暴力性を見事に視覚化するとともに、美術館という権威主義的な体制に隠れた側面も同時に表現した。次に加藤は檻に囲われた作品に影が落ちる様を作品として抽出(anonymous series)。鉄格子と人の間にある影は社会が持つ“境界”とリンクしているようにも読み取れる。社会の境界線を彷徨うモノとして“犯罪経歴を持つ者”がモチーフになるのは必然だったといえるだろう。複雑な鉄線の羅列によって抽象化された作品は、視点を動かしながら鑑賞することで干渉縞(モアレ)の視覚効果を引き起こす。鉄が持つ暴力性を現した作品とは正反対に、強固な物質性は去勢され、まるで揺らめく残像のように空間に佇む。

これまでanonymous seriesは全身・半身像、兵器などのモチーフを中心に発表してきたが、本展では頭部に焦点を当てた立体作品を発表する。全身像では表現されなかった詳細な顔の造形が顕になると同時に、巨大なスケールであるが故、近づくほどにその正体は曖昧模糊な物体、鉄輪の積み重ねであることを強く認識させられる。時間や事象の積み重ねにより社会観の変化が著しく見受けられる昨今、加藤自身にはどのような積み重ねがあったのだろうか。

binary
◉意味・対訳 : 二の、二成分の、二元の、二進(法)の、連星の

複合語の形で用い、二つの、二つから成る、また二進法の意を表す。
あらゆる分野で応用して利用されている。コンピュータ用語としては、データが「0」と「1」で表現されているデータ形式のこと、あるいは、テキストではない情報でデータが書かれているファイルを指す。

展覧会ページ

 

EXHIBITED ARTWORKS

anonymous weapon #2 2017 iron H260 × W840 × D85 mm

iron-oxide painting “N.F./D****32” 2022 iron-oxide, graphite, acrylic, paper, canvas H1000 × W803 × D50 mm

anonymouse grid human #2 2022 cor-ten steel H1370 × W500 × D400 mm

anonymous human #4 2017 steel H1820× W970× D800 mm

 

加藤智大
1981年、東京生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士課程工芸専攻を修了。鉄という素材を足がかりに社会に様々に存在する境界を探る。近年は実際に犯罪歴のあるの人物や兵器を3Dスキャンし複雑な鉄線の羅列に置き換え、鉄の堅牢で強固な物質性と映像的でヴァーチャルな干渉縞効果の相反する要素を併せ持つ、残像の如く揺らめく鉄の彫刻であるanonymousシリーズ、適切な粒度に砕いた酸化鉄をメディウムに添加した独自の画材を用いてレリーフ状にモチーフを描き出し、鉄そのものと見間違えるような赤錆の質感や重厚感を得た、鉄に擬態した絵画であるiron oxide paintingシリーズを中心に制作している。

加藤智大の個展「“binary”」
会場:TEZUKAYAMA GALLERY
住所:大阪府大阪市西区南堀江1–19–27 山崎ビル2F
開館時間:12:00 – 19:00
入館料:無料
休館日:Sun, Mon, Holiday
URL
Instagram:@tezukayama_g

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