空山基の新作個展「Space Traveler」が渋谷神宮前 NANZUKA UNDERGROUND他、合わせて3会場で同時開催
空山基氏は、人体と機械の美を追求した作品で、国内外で伝説的な存在となっているアーティスト。その名を世に知らしめた作品「セクシーロボット」シリーズ(1978 年-)では、女性の人体美をロボットに取り込んだ表現で、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた。空山氏は、人物、動物、恐竜などあらゆるロボットを描くことで有名だが、同時に女性のヌード像を描いている事によって、現代の美術の正統からは異端の存在となっている。身体の美しさへの傾倒や人間の本質的な知的好奇心、欲望=生へのエネルギーといった自身の関心を決して隠そうとせず、政治的、宗教的タブーにも、その作品表現において、果敢にチャレンジしようとする。
黙る事より語る事で問題は解決されるべきだと空山氏は確信しており、そのために時に子供のようにイノセントであろうとする。結果的に、空山氏はアーティストという呼称を否定し、ラディカルな表現者という意味も強調して、エンターテイナーと名乗っている。
空山基 Hajime Sorayama Untitled | 2022 | Acrylic, digital print on canvas | H197 x W418.2 x D4 cm (triptych)
2020 年に開催した NANZUKA での個展「Sex Matter」において、空山はアートにおける性の問題を、ロボットを通して表現するという作品にチャレンジ。一見すると、奇妙な図式だが、空山氏は世の中に男と女(オスとメス)がいる事によって知的な生命が誕生するという事実を、逆説的に強く明示した。一方、本展「SpaceTraveler」は、人間の身体性を超えた未来という、仮想の物語を提示する。私達は空山の作品を通して、人のようで人ではない存在、人の時代以後の世界を空想する。その作品は、人の知性とはなにか、身体とはなにか、時間とはなにか、といったテーマが相互に絡みあい、自然と私達の空想力や創造性を刺激する。あるいは、私達のテクノロジーが、身体の限界を超えて永遠の生を齎す事はあるのか、人工知能が人と共存する未来が訪れることはあるのか、といった問題提起を暗示しているとも読み取ることができる。
本展では、まずメイン会場となる NANZUKA UNDERGROUND において、新作のヒューマンスケールサイズのロボット彫刻作品による大規模なインスタレーション、また空山として初となる CG テクノロジーを駆使した映像作品、そして近年空山が精力的に取り込んでいる大型のキャンバス絵画作品を展示。また、NANZUKA 2G と3110NZ by LDH kitchen においても、同シリーズの彫刻作品及びペインティング作品も発表され、エディション作品「Space Traveler 1/6 scale」が限定販売される予定となっている。
空山基 氏
1947 年、愛媛県生まれ。現在は東京在住。1983 年「Sexy Robot」出版。1999 年に、ソニーが開発したエンターテイメントロボット「AIBO」のコンセプトデザイン、2001 年には、世界的ロックバンド、エアロスミスの「Just Push Play」(2001)のアルバムカバーを手掛け、近年もキム・ジョーンズと手がけた Dior Men とのコラボレーションで大きな話題となる。
近年、空山氏の作品
「Unorthodox」(The Jewish Museum, New York, 2015)、 「Desire」(by Larry Gagosian and Jeffrey Deitch, Moore building, Miami, 2016)、「The Universe and Art」(森美 術館, 東京, 2016、Art Science Museum, Singapore, 2017)、「Cool Japan」(Tropenmuseum, Amsterdam, 2018)、「Tokyo Pop Underground」(Jeffery Deitch, NY/LA, 2019-2020) 、「Sorayama x Giger」(UCCA Labo、 Beijing 2022−2023)
また本年の夏には、アメリカのマイアミに新たなにオープンする Museum of Sex における大規模な個展が控える。
空山基 / Hajime Sorayama
Space Traveler
2023年4月27日(木) – 5月28日(日)
NANZUKA UNDERGROUND
東京都渋谷区神宮前 3-30-10
水曜日 – 日曜日 11:00-19:00
*月曜日、火曜日休業