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2019.06.22

憂鬱なときには憂鬱な曲を|椿正雄のレコード・レコメンvol.1〜梅雨編〜

下北沢で1982年から営業する老舗レコード店、Flash Disc Ranch(フラッシュ・ ディスク・ランチ)のオーナー 椿正雄が、いま聴きたい一枚をおすすめする連載企画。
第一回目のテーマは梅雨。ここ数年梅雨らしい梅雨がないとはいえ、やはり雨の日には気分が落ち込むもの。そんな時聴きたい曲は?教えて、椿さん。

気だるい感じが雨にぴったり。ダイアナ・ロスの「Touch Me in the Morning」

僕はね、憂鬱なときにはムリして明るい曲を聴くんじゃなくて、憂鬱な曲を聴いたほうがいいと思ってるんです。悲しいときは、すごく泣ける音楽を聴いた方がいいと思うし。

これなんかいいんじゃないですか?ダイアナ・ロスの「Touch Me in the Morning」。この気だるい感じが雨にぴったりだね。でもアルバム一枚聴くと、まぁまぁ元気が出るような曲も入っていて。「雨に唄えば」といっしょですよね。あれも最初は地味なのに、最後には踊りまくってるじゃないですか(笑)。

ダイアナ・ロスははじめザ・スプリームスっていうグループにいて、1969年にソロになったんだけど、そこから4年後の1973年にリリースされたアルバム。

この頃は女優業もはじめていて、音楽もソウルからもっとメジャーになろうとしていた頃ですね。タイトル曲の「Touch Me in the Morning」は後にホイットニー・ヒューストンのデビュー曲も手掛けるマイケル・マッサーが楽曲提供していたり、いいシンガーといいスタッフで作りあげている間違いのない一枚です。

 

びょんびょんって感じのギターがいい。ガボール・ザボの「Spellbinder」

これもいいですよ。ガボール・ザボというハンガリー生まれのギタリスト。

なんか、びょんびょんびょんって感じのギターがいいんですよ。

1966年に出たアルバム「Spellbinder」の「MY FOOLISH HEART」は、いわゆるスタンダード曲でいろんなジャズの人がやっているんだけど、このアレンジがすごくいいんです。カルロス・サンタナはこの人から大きな影響を受けたと公言していますね。60年代の終わりにはじまったロックというのは、ブルースの影響を受けていて、みんなあの頃のロックの人はブルースをすごく研究していました。当時いちばん人気があったのがB.B.キングで、ギターの神様みたいな存在だったんだよね。ブルースロックをやっているギタリストのほぼ全員がB.B.キングを追っかけていたなかで、もっと他にないのかと思ったとき、カルロス・サンタナはガボール・ザボに行き着いたみたい。このアルバムに入っている「GYPSY QUEEN」っていう曲は、サンタナがカバーもしていますよ。

 

これも気だるい。キャロル・ベイヤー・セイガーの「COME IN FROM THE RAIN

キャロル・ベイヤー・セイガーの「COME IN FROM THE RAIN」。この人も大作曲家で、バート・バカラックの当時の奥さんだね。さっきのダイアナ・ロスの「Touch Me in the Morning」を手掛けたマイケル・マッサーと並んでこの時代を代表する作家で、このアルバムは1977年の作品。僕がはじめてレコード屋に入ったのが1977年だから、こういうのをよく扱ってましたね。ちょうどイーグルスとかが活躍してきた時期と同じ頃で、80年代の頭までこの流れが続いてたかな。

最初のダイアナ・ロスとちょっとかぶるけど、これもいいと思うよ。

取材協力:Flash Disc Ranch(フラッシュ・ ディスク・ランチ)

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