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汗がだらだら流れるような熱い音楽|椿正雄のレコード・レコメンvol.2〜残暑編〜

Aug 22, 2019 - FEATURE
下北沢の老舗レコード店「フラッシュ・ ディスク・ランチ」のオーナー 椿正雄が、いま聴きたい一枚をおすすめする連載企画。第二回目のテーマは残暑。長かった梅雨が明けたと思ったら、連日の猛暑。残暑というには厳しすぎる暑さの中、聴きたい曲はなんでしょう?教えて、椿さん。

ナンセンスな世界感がいい。ハリー・ニルソンの「Nilsson Schmilsson」

夏と言えば、ジョアン・ジルベルトとかアントニオ・カルロス・ジョビンとかが定番だけど、もっと暑いのを聴いたほうがいいですよ。汗がだらだら流れるような。

これいいですよ。夏に聴かずにいつ聴くんだ、ってやつ。「Nilsson Schmilsson」っていうアルバムに入ってる、ハリー・ニルソンの「COCONUT」。もう太陽がギラギラしてる感じ。

この人もものすごい才能がある人で、でもめちゃくちゃな人で。ジョン・レノンが一時期、オノ・ヨーコに追い払われるようにロサンゼルスに住んでいた時期があって、そのときハリー・ニルソンと一緒に毎晩バーをはしごして大暴れしてたとか。

この曲はずっと同じ歌詞の繰り返しで、「ココナッツにライムを入れて全部飲んだら、お腹が痛くなって、お医者さ〜ん、助けて〜!」っていうのをずっと歌ってるだけなの。ナンセンスだよね。

もちろんそんな曲ばかりじゃなくて、いろんな曲がありますよ。バッドフィンガーのカバーの「WITHOUT YOU」っていうのは彼の一番のヒット作。すごく才能がある人なのに、代表曲がカバーっていうね。

この人は「One」っていう曲も出してるんだけど、本人版ではヒットせず、スリー・ドッグ・ナイトっていうグループがカバーして大ヒットするっていう…。不遇な天才っていうイメージかな。

聴いてるだけで楽しくなれる。ザ・ ビーチ・ボーイズの「BEACH BOYS’ PARTY!」

これも冷房のないところで聴くのがいいな、ビーチハウスかなんかのパーティで。ジャケがすごくおしゃれなんだよね、Wジャケットで。これ、ザ・ ビーチ・ボーイズのアルバムなんだけど、半分くらいはカバー。みんなでパーティをやってる実況録音盤みたいな趣向で作ってるんだよね。だから楽器も生ギターとベースとボンゴかなんかで、ドラムは入っていなくて。ビーチ・ボーイズに詳しい人に教えてもらったんだけど、みんな楽しく演奏しているように聴こえるけど本当はブライアン・ウィルソンっていうのは非常に厳しい人で、女子がハモりで音を外したりすると結構空気がピリッとしたらしいんだよね(笑)。音だけ聴いてるぶんには十分楽しいよね。

ちょっと秋寄りの夏におすすめ。WARの「GALAXY」

俺がすごい好きなのはコレなんだよね。ちょっと秋寄りの夏って感じかな。WARっていう、ソウル・ファンク系のグループなんだけど、いわゆる普通のソウル・ファンク系のグループとは明らかに違って、独特なの。ちょっとワールドミュージックっぽいっていうのかな?この人たちにしかない感じ。もともと7人組なんだけど、これが7人でやっている最後のアルバム。現在に至るまでオリジナルメンバーはバラバラになったままなんだよ。このアルバムすごいかっこいいアルバムなんだけど、最後に「The Seven Tin Soldiers」っていう曲があって、「鉛の兵隊」っていう話をモチーフにしてるのね。トイ・ストーリーみたいなのおもちゃの話なんだけど。それを7人のメンバーになぞらえていて、7人で最後に作る最後のアルバムの最後の曲にするっていうのがいいよね。

そういえばWARには「Summer」って曲もあったな。この人たちの曲はだいたい夏にぴったり。やっぱね、夏は暑いところでビール飲みながら熱い音楽聴くのが一番ですよ。

取材協力:Flash Disc Ranch(フラッシュ・ ディスク・ランチ)

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