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デザイナー 廣川玉枝 が語る、瀬戸内を表現した新ブランド「SANUA」

Dec 4, 2020 - FASHION
日本のファッション業界を牽引しているブランドSOMARTAのデザイナーであり、SOMA DESIGN代表の廣川 玉枝氏。
その活躍の幅はファッション業界だけに止まらず、マルチに活躍しているデザイナーだ。
この度、メンズブランド「CURLY&Co.」で知られる香川県の川北縫製から新たにローンチしたブランド「SANUA(サヌア)」にはクリエイティブディレクター・デザイナーとして参画している。
廣川氏が今だから考えること、新しく生まれた「SANUA」について話を伺った。
Profile
廣川 玉枝
SOMA DESIGN クリエイティブディレクター/デザイナー

2006年「SOMA DESIGN」を設立。同時にブランド「SOMARTA」を立ち上げ東京コレクションに参加。第25回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。単独個展「廣川玉枝展 身体の系譜」の他Canon[NEOREAL]展/ TOYOTA [iQ×SOMARTA MICROCOSMOS]展/ YAMAHA MOTOR DESIGN [02Gen-Taurs]など企業コラボレーション作品を多数手がける。
2017年SOMARTAのシグニチャーアイテム”Skin Series”がMoMAに収蔵され話題を呼ぶ。2018年WIRED Audi INNOVATION AWARDを受賞。


“デザイナー 廣川 玉枝”

描くことで広がった未来

学生時代は、美術部に所属し、将来は絵を描くことを仕事にしたいと考えていました。
そんな中、当時のファッション誌で、女性たちが服装やメイクで変幻自在に美しく変化することに興味を抱き、自分が思い描いた服を装うことで人々が美しく変化することは、まるで着るアート作品のようだと感じ、それから美にかかわる仕事をしたいと考えるようになりました。ファッションデザイナーになれば、絵を描きながら美しい人々と関わり合い仕事ができるのではないかと想像し、その後ファッションを学ぶため専門学校へ進学しました。

日々新しい刺激から吸収

専門学校時代は、同じ目標を持ち切磋琢磨しあった友人や、服飾とは何かを一から教えてくださった先生、展覧会で見た様々なデザイナーが創造した作品から刺激を受けました。就職してからもそれは同様に、デザイナーの先輩や友人達をはじめ、常に身近な人々や物事から影響を受けています。
スポーツ選手が毎日練習するように、デザイナーにもセンスを磨くためのトレーニングが毎日必要だと思うんです。デザインへのインスピレーションを日常から取り入れられるよう、アート観賞、舞台鑑賞、自然に触れる事や読書など日々アンテナを張るよう心掛けています。

コロナ禍で気付かされた「変わらないこと」

2020年、世界は自然環境の影響でライフスタイルが今までと大きく変化し、予定していたことが余儀なく出来なくなりました。人々の生活が変化する中で、今までにとらわれず、一からまたどのような服づくりをするべきかを考えていました。
自粛期間が終わり、緩やかに日常を取り戻しながら、世界は変わってしまったけれど、今までと変わらないことが幾つかあることに気が付きました。
服が好き、アートが好きなど「好きなこと」は突然には変わらないことです。
また、衣服は毎日の暮らしの中で、人に最も近い道具として、人々の心を明るくする灯火のような存在であることも、変わらないだろうということにも気付かされました。
環境が変化すれば、人々の意識や暮らしもおのずと変化し、デザインもそれに寄り添って変化します。
これからも好きでいてくれる人々の喜びのために、デザイナーの仕事があります。
環境の変化を意識しながらも、今までの服づくりと大きく変わらない服をつくることが、大切だと考えました。

デザイナーとしての展望

常に好奇心をもって物事を観察し、何事にも前むきに取り組めたらと思います。
また、ファッションだけに留まらず様々な業種の方々と仕事をし、後世に残せるようなデザインをしていきたいです。


自然が織りなす循環の美を実現したブランド「SANUA(サヌア)」

川北縫製に感じた共通項

オファーを受けたとき、川北縫製のこだわりや考え方、ものづくりの質の高さや新しい事に挑戦し続ける姿に共感し、ぜひ一緒に取り組みたいと強く思いました。
私自身デザイナーとして、カットソーのノウハウに長けている川北縫製の技術力に触れる事で、新たな服づくりのチャレンジが出来る事に喜びを感じています。
また、川北縫製はSANUAを通し、SDG’sにも取り組んでいます。
自社生産、自社販売の強みを活かした、適量の生産で地球への不可を減らしています。
時代に合った生産方法にも強く共感しました。

自然のエネルギーを込めた衣服

ブランドを0から作るとなったとき、服が溢れている現代に向けて、川北縫製の強みを活かしながら、どうしたら長く着てもらい、長く残していけるかを考えました。
また、川北縫製の素材づくり、確かな技術力がベースにある中でのデザインは、気軽に、そしてカジュアルに着れて、シンプルで心地良さを感じられるものであるべきだとも考えました。
そこから色をテーマに瀬戸内を表現したものづくりをしていくと面白いのではないかというアイデアが浮かび、SANUAが生まれました。
SANUAというブランド名は「静寂の中に生命を響かせる」というサンスクリット語の造語から名付けました。
「地球から生まれる自然を身に纏う」というブランドコンセプトのもと、自然が織りなす循環の美を表現しています。
それは、香川県の山と海に囲まれた自然豊かな土地から生まれたブランドだからこそできる表現です。豊かな土地から生まれた自然の恵みやエネルギーを、衣服を通して感じとることができる物づくりを目指したいと思っています。
SANUAブランドの立ち上げにあたり、クリエイティブスタジオとして活動する私たちSOMA DESIGNが衣服のデザインにとどまることなく、ブランド名やコンセプト、ロゴデザインなどトータルに手がけることで世界観や川北縫製のものづくりのメッセージをブレることなく表現できていると思います。

自然の恵みから生まれた染色技法「ボタニカル・ダイ」

SANUAでは自然の恵みから生まれたという染色技法を採用しています。
瀬戸内海で取れる塩で布を清め、自然から抽出した植物染料にわずかな化学染料を加えることによって、色の発色や定着を安定させたハイブリッドな染色方法です。
かつて、染色とは布を染める役割だけでなく、花や葉をはじめ、茎、樹皮、果実、種など植物や鉱物から生まれ出る効能や、エネルギーに満ちた自然の色彩を纏うことで得られる力があったと言われています。
現代では、服飾産業のあり方から化学染料がメインになっていますが、160年ほど前までは自然染色しか行っていませんでした。衣服は自然のエネルギーを宿した癒しの力を持っていて、着ることで常に自然との関わりを感じていたのです。
それを現在に復活させたいと願い、プロダクトを開発しました。

瀬戸内海が魅せる「青」の美しさ

SANUAをデザインすることになってから、生まれて初めて香川県を訪れました。
何箇所か見て回りましたが、やはり印象に残ったのは瀬戸内海の「青」の美しさでした。
その青にインスピレーションを受け、今シーズンは瀬戸内の海を表現した「ブルー」をテーマに決めました。
「ボタニカル・ダイ」染色で大海原に広がるグラデーションと水平線を描き、美しい瀬戸内海の青を表現しています。
そこから生まれた「SANUA BULE」の源は、瀬戸内海の塩、ログウッドという植物です。
ログウッドは、かつて世界中の紺や黒を染めるために最も使われた植物なのですが、全ての色素や光源を含むことから、身体と精神を癒す色彩とされていて、瀬戸内の美しい海を表現するのにぴったりでした。
LOOKでは川北縫製の社長おすすめのさぬき市の海岸で水平線の美しい瀬戸内海を背景に撮影しました。
撮影日がちょうど晴れ日だったので、背景の海と服のグラデーションが綺麗にマッチしています。

極細糸から実現した理想の生地

SANUAでは、天然繊維の心地よさに注目していてメイン素材に使用しているのですが、その中でも軽さやしなやかさを持った生地、ハリや光沢感を追求して、なおかつドレープが美しく表現できる100番手の極細糸を使った特別な超長綿の生地を開発しました。
綿特有の毛羽立ちを抑えることによって生まれたワンピースやトップスは、上質で長く着られるプロダクトを目指しています。

 


 

今回はQUIにてファッション感度の高い方に向けたSANUAの提案を行いました。

衣服は着てこそストーリーが完成します。
今回のファッションシューティングでも私自身「こんな着こなしがあるんだ。」と新しい発見がありました。
着こなしを楽しみながら自由に着ていただけたら嬉しく思います。

 

FASHION
GIFT from THE EARTH — SANUA
Dec 04, 2020

 

SANUA
https://sanua.jp/
Instagram / Twitter

The Weft AOYAMA
住所:〒107-0062 東京都港区南⻘山6-12-10 UNITY 103
アクセス:表参道駅 B1出口徒歩8分
営業時間:12:00-19:00
定休日:月曜日・火曜日・水曜日
TEL:03-6450-5905 

  • Photographer : Kei Matsuura
  • Writer : Yukako Musha

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