FEATURE

2019.04.22

生活すべてをプロデュースする。DAN|oopsデザイナー

2015年にスタートしたoops(ウップス)のデザイナーDANは、ファッションを中心に音楽やアートなどさまざまなクリエイションを手掛けるマルチな才能の持ち主。服作りも完全に独学で身につけたというDANの、多彩なクリエイティブに迫った。

Profile

  • DAN

    oopsデザイナー

    幼少の頃にブラックミュージックに魅了され、音楽を通じアートを表現。高校卒業と同時に音楽での表現をスタートする。 20歳になる頃、某会社にファッションスタイルが見出され、アパレルの道へ。 2015年にファッションブランドoopsをスタートする。現在ファッション、アート、インテリアを軸にクリエイションをするアーティスト。

ライブ衣裳のためにはじめた服作り

自己プロデュースなんて言葉は知らなかったけど、服を作りはじめたのはそのためだったかもしれないですね。子供のころにブラックミュージックに触れて、高校3年生くらいから自分で音楽をはじめて。高校の時はマーヴィン・ゲイとか、ダニー・ハサウェイとか、70年代のソウルミュージックばかり聴いていました。さりげなくしゃべるようにつづられた歌詞の中に、瞬間的に魅せられる声とか波長があって。ソウルとは…みたいなことを自分なりに勉強をして、没頭していた時期でした。

かっこいい音楽をやりたい、それをさらにかっこよく見せたいという想いから、ライブの衣裳を自分で作るようになったんです。自分に似合う服は自分が一番知っているし、スタイリングも込みでかっこいい人間、かっこいいアーティストでありたかった。それを表現するための手段のひとつが、ファッションだったんです。

 

お気に入りの服を解体してパターンを学ぶ

でも服作りって、誰かに教わったことないんですよ。人から学ぶのが苦手で(笑)。だから我流。例えば、自分が着ていて心地いい服あるじゃないですか。着心地もそうですけど、可動域だったり。それを生け贄にして、解体するんです。全部分解してみて、こんな形になってんだみたいな。表面から見ると1本線でできるようなものも、パターンにしてみると意外と違うぞ、みたいなのを探って、勉強してもの作りをしてた。

もともと、デザインって言葉も知らなくて。何でも勝手にやっていいんだと思ってたんです。誰かのためにものを作るっていうのも考えたことなかった。でも、服作れるなら僕たちのやつも作ってよって、周りから言われるようになって、なんかそそのかされる感じでブランドをはじめたんですよね(笑)。

 

挫折から生まれた、“届ける”という想い

ブランドをはじめた当初はオーダーメードに特化した展開を考えていたんですが、あるできごとがあって。当時、ラフォーレに入っている某セレクトショップさんに、ポップアップのお話をいただいて、自分は大量生産でないものを作っているので、すべて一点もので作って、トータルコーディネートだけで販売させてほしいというお願いをしたんです。マネキンを全部で5体用意して、フルコーディネートでしか販売しないというスタイル。そのときは完全にエゴだったんですよね。それで売れないんだったら別に売れなくていいとすら思ってた。結局、その1週間、トータルコーディネートが1組も売れなくて。やっぱりそれでは通用しないんですよ。ぽっと出の俺がそんなことやって何になるっていう。そこではじめて、自分のエゴがぶっ壊れたんです。一番思ったことは、“届ける”ということ。みんなに届けやすくて、みんなが着やすいストリートラインが生まれるきっかけになりました。それが20歳くらいのときかな。

 

服も“便利であること”が大事

19歳、20歳ぐらいのときは、服のデザインを全部音のイメージから作っていました。ロックもレゲエもソウルファンクもR&Bもヒップホップも、いろんな音楽を聴いて、中でもやっぱり一番刺激的なのはソウルミュージックだったんですが、“この感じが気持ちいい”という音を自分なりの形にしたらどうなるか、というのを瞬間的に記録していくんです。それを、後からデザインやカラーに落とし込んでいく。俺、いまもデザイン画はスーパーラフなんです。自分以外は解読できないやつ。ただ記録として残したいだけだからそれでよくて。

あと、デザインに関して言えば、いますごく思っていることは、とにかく“便利である”ってことが大事だなって。だいぶ尖ったもの作っているので、イメージと違うかもしれないんですが(笑)。着心地がいいというのも“便利”のうちだし、オーダーメイドで作るものに関すれば、お客さんのカウンセリングが一番大事くらいに思ってる。何気ない会話の中からその人のニーズを探って、服の素材やデザイン、ディテイルに落とし込んでいく。その人のことをちゃんと知らないと、デザインが完成しないんですよね。

 

生活すべてをスタイリングしたい

極端なこと言えば、自分のライフスタイルに合った便利を追求するのが人生なんじゃないかと思ってて。服だけじゃなくて、生活すべてをスタイリングすることで総合演出をしたいんです。俺、「できないことがないように」っていうのを目標にしてるんですよ。服を解体してパターンの勉強をしたと言いましたが、1個のものを見て、自分で構造を作り上げるのが大好きなんです。たとえばレストランに行くときも、味の勉強として行く。料理を食べて、これを俺が作るんだったらどうするか、っていうことを考えて、自分なりのアレンジで作ってみるんです。だから料理もめちゃくちゃ作りますし、家具だって自分で作る。髪も自分で切るし、カラーも自分でやるし、タトゥーも自分で入れる。身の回りのものは全部自分でやりたくなっちゃうんです。

プライベートでキャンプを企画したら、それも総合プロデュースしちゃいます。自然と戯れて、バーベキューして盛りあがるみたいなのは当たり前。その中に、みんなで一つになれる催しを盛り込んで、それを楽しみにしてくれる人たちがいるっていうのを想像しながら企画するのが好きなんですよね。全部俺が用意しておくから、みんなはただただ楽しんでいってね、みたいに。そこまでプロデュースするのが好きだし、そういうのって、お客さんのニーズを考えてデザインすることと似ているのかもしれません。

 


 

いかついルックスとは裏腹に、やわらかい物腰とチャーミングな笑顔が印象的なDAN。服作りにおいてもプライベートでも、相手を喜ばせたいというサービス精神にあふれている。家具作りやアートワークなど、服のデザインにとどまらない彼のクリエイティブに、今後も注目したい。

 

あなたにとってファッションとは?

「誰にも文句を言われることなく権利を得た、表現方法」

 

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