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テクノロジーとフィジカルが交差するその先 — MAGARIMONOデザイナー 津曲 文登 / 小野 正晴

Oct 26, 2020 - FASHION
コロナ禍でローンチされた気鋭フットウェアブランド「MAGARIMONO」。
デザイナーはフットウェアデザイナーの津曲文登氏とデジタルデザインディレクターの小野正晴氏。
彼らが生み出すものは前例のない、すべてのパーツを3Dプリンターで製作されたフットウェア。
デジタルとフィジカルによって生み出される全く新しいプロダクトはいかにして生まれたのか、今の世の中に対して思うこと、今だから考えることを聞いた。

MAGARIMONOについて


-津曲さんはもともとは会社勤めをされていました。フットウェアデザイナーに転身したきっかけは?

津曲:文系の大学を卒業した後、製薬関連会社に勤めていましたが、ファッションが好きで自主ブランドを作る夢を捨てきれずにいました。特にファッションアイコンである靴が好きだったこと、靴職人が魅力的だったことがあり、自分で作れるデザイナーとなりたい!と製薬関連会社を辞め、靴職人を目指したところからスタートしました。

小野さんは個人のプロジェクトとしてアパレル・ファッション領域でデジタル技術の製品実装を行っていました。津曲さんと共同プロジェクトを立ち上げたきっかけは?

小野:モノづくりをしたくてメーカーに入ったのですが、新しい分野を切り開くという意味では、大きな組織では面白いことができませんでした。もっと先端で面白いモノを求め、デジタルの中でも特に当時ムーブメントを起こしていた3Dプリンターの勉強を始めました。アパレルに興味があり、最初は一人で服を製作していましが、お作法についての知見がある人と組んだ方がいいなと思いました。例えば、靴ならば足あたりや歩きやすさなどわからないこともあったので。そんな時に津曲と出会いました。

—プロジェクト立ち上げからブランド設立まで約半年でプレスリリースを発信とはなかなかないスピード感だと思います。このスピード感が実現できた理由は?

津曲:プロジェクトが始まる前から3Dとフィジカルという構想はあって、ソールは3D、アッパーは既存の素材を使い作ってみたのですが、独自性に欠けるなと。また、工場を使わなければいけないので時間がかかるという面もありました。そこからオール3Dの構想が持ち上がり、取り組んでいくことになりました。スピーディーに動けた理由としては、僕はヒコ・みづのジュエリーカレッジ在学中の作品製作の時から3Dでヒール制作していた知見があり、小野は別のプロジェクトでソールで使用している素材のクッション性などの知見があったことです。半年で一番時間がかかったのは、ソールとアッパーの内構造や3D出力しているTPU素材の足あたりを3ヶ月間ひたすら検証しました。

小野:最後は津曲の手が仕上げているものの、僕らの開発工程はデジタルなので、トライ&エラーが高速で回せています。データができたら次の日にアッパーができていたり、一週間後にはソールができていたり。そこは他のメーカーさんにはできない自分たちの強みだと思っています。

—新型コロナウイルスが出てきた中でのリリースになりましたが、方向転換を強いられた場面は?

津曲:工場を使わないことは最初から決めていたので、工場を使わないということは人が集まる必要性がないということがマッチングしています。また、デジタルを使った生産だと在庫を持つ必要もないので。今後の展開として、家を出ることが少なくなる中で僕らのプロダクトがどういうポジションになるかということを考えています。一回出る貴重な機会に「せっかくだったらかっこいい靴で出たい!」というところをイメージしていきたいと思っています。

小野:僕らのやり方が今回の新型コロナの影響で大きく変わったという事はありません。世界的にコロナきっかけでマインドがすごく変わったと感じています。僕らのプロダクトは先の未来の提案だと思って作っているでその部分も含めて評価してもらえると嬉しいなと思います。

—MAGARIMONOのプロダクトは、自身のコンセプト「STEP DIFFERENT——異端が未来のスタンダードとなる」にもあるように、日本特有のわかりやすいファッションとは全く別の次元で展開されていますね。

小野:僕らが意識しているモノは、なるべく今の常識に外れたはみ出しもの、異端なアートピースを生み出そうとしています。今世の中にあるものは過去を辿ると最初は賛否両論で叩かれるなどはみ出しものだったと思うんですよ。でもそういう異端なアクションを誰かがやらなければならないんです。それが僕らなのかもしれないと考えています。

津曲:異端もやり続けたから今評価されている部分があります。だから僕らもコレクションを発表することを一過性で終わらせず、継続して発表していきます。トレンドに乗らず面白いモノ、衝撃を与えるモノを作っていきたいと思っています。3Dで作られたモノが日常生活で実装できることをひたすら発信することが僕らの使命でもあり、課題でもあると考えています。

デザイン性だけでなく、履き心地も定評があります。

津曲:エッジが効いたデザインで3Dプリンターとなれば一般的な靴よりも硬いんじゃないか、履き心地が悪いんじゃないかというところは僕の知見を加えて担保しなければならないところだと思っています

—プロダクトとユーザーの関係性として目指すべき姿は?

小野:僕らの目指すプロダクトの姿としては、これまでの制約を崩したいと思っています。本当に自分で自分に合ったモノを選ぶ生活スタイルになってもらいたいんです。なので、メーカーやブランド側が用意したフレーム(サイズ感、デザインなど)を壊して、ユーザーが周りに流されず本心で本音で選ぶモノを作っていきたいと考えています。

—近年のハイテクスニーカー競争について思うことは?

津曲:大手さんが大量生産の上にブランドを乗せる流れを作っているので、機能美とデザイン美を本来の使い方をすると、もっと良いのになとは思います。ファッションの世界は、製品の研究開発費を投資しない傾向があるので、結局どれも似たような形になってしまいます。表面のデザインデティールだけを変えて、中身を変えない形が多いので、プロダクトであったり、ブランドとしての強度が弱くなるのではないかと考えます。トレンドに乗っているので、同じラティスを使ったものが出来上がり、そういうトレンドになってしまう。僕らは、そのトレンドに乗りたくなかったので、違う可能性を模索した経緯があります。せっかく3Dプリンターを使うのであれば、もっと探求すればいいのになぁとは思いますね。

—将来の展望は?

津曲:ブランドで言うと、これからもトレンドを崩していきたいです。そして異端で居続けたいと思っています。最終的に、崩していきたいと言った我々がトレンドになっていれば一番良いなと。僕らのフレームワークっていうのは、色んな領域に適応出来ると思うので、その領域を広げていきたいと思っています。表現できるプロダクトは全て取り組んでいきたいですね。ユーザーとプロダクトが密接になったモノづくりを復旧させることが僕らの考えである「スタンダードになる」って言うところに繋がるのかなと。

小野:僕らは基本クラフトマンシップとデジタルというモノを掛け合わせて新しいモノを作りたいと動き始めて、最初は靴をどんどん作っていくんですが、この2軸だと靴作りに限らずどの領域でも適応できます。例えば家具もそうですし、それぞれの領域の職人やデザイナーたちと一緒に作ることができるので可能性は無限大です。

新色「BLACK」について


待望の新作「BLACK」が10月26日より発売される。

第一弾の同様に3Dプリンターで制作されたアッパーとソールから構成される。
4型それぞれ異なるソールの構造を持ち、弾力性や軽量化を実現している。

明日から11月3日(火)まで渋谷のFabCafe Tokyoにて「“Magarimono Originals” New Color Pop-Up Store_2020」を開催。
期間中は、新色BLACKの予約受注会をはじめ、自分だけのカスタマイズスニーカー作りを体験できるワークショップも開催される。

【“Magarimono Originals” New Color Pop-Up Store_2020】
2020年10⽉27⽇(火) – 11⽉3⽇(火)
平⽇:8:30-20:00
⼟⽇祝:10:00-20:00
東京都渋⾕区道⽞坂 1-22-7 道⽞坂ピア1F FabCafe Tokyo
https://fabcafe.com/jp/tokyo/ 

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