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2019.06.15

二度見せずにいられない吸引力。DKARTE gallery|QUI的ギャラリー探訪

馬喰横山に2019年4月にオープンしたばかりのDKARTE gallery(デカルテ ギャラリー)。ラテン圏のアーティストをアジアに紹介するギャラリーとして誕生し、展示される作品はすべてアジア初上陸となる。ギャラリーの前を通ったら、足を止めずにいられない圧倒的なインパクトを放つ作品たち。吸い込まれるようにギャラリーに足を踏み入れた。

日本ではあまり知られていないラテン圏のアーティストを紹介

何気なく街を歩いていたら突然目に飛び込んできた“壁に吊られた人”。ん?んん?これは、色鉛筆!?その隣にはかわいい動物…ん?弾丸!?なにか、すごいものを発見してしまった…。早速ギャラリーに足を踏み入れ、取材を申し込んだQUI編集員。後日、オーナーの酒井杏子さんとDavid Bedoya(ダビッド・ベドジャ)さんにお話をきくことができた。

QUI編集部(以下QUI):あまりのインパクトに、思わず二度見しました。これ、ぜんぶ色鉛筆でできているんですね?

酒井杏子さん(以下酒井):そうなんです。コロンビアのFederico Uribe(フェデリコ・ウリベ)の作品で、アメリカや南米ではとても有名なアーティスト。日本で紹介したところとても評判がよくて、アート初心者もそうでない方にも人気がありますね。

QUI:こちらは4月にできたばかりということですが、どういったギャラリーなのでしょうか。

酒井:「ラテン圏のアーティストをアジアに、アジアのアーティストをラテン圏の国に」というコンセプトで、パートナーのダビッドと一緒に運営しています。ラテン圏というのはラテン語から派生した国という意味で、ポルトガル、フランス、スペイン、イタリアも含んでいます。

 

バルセロナで出会い、3枚の画からスタートした

QUI:おふたりはどういった経緯でギャラリーをはじめたのですか?

酒井:わたしは日本で美大を卒業後、バルセロナに語学留学をしていました。父、母、祖父がすべて起業家という家庭に育ったこともあって、自分でなにかをするというのが当たり前。バルセロナにいる間に起業をして、アンティークを日本に輸出する仕事をしていたのですが、ビザの関係でちょっと上手くいかなくなった時期があって。そんなときに彼に出会ったんです。

ダビッド・ベドジャさん(以下ダビッド):僕はコロンビア生まれで、父親は美術商をしています。16歳でニュージーランドに渡り、その後さまざまな国を旅してモナコの大学でビジネスを学びました。バルセロナで彼女と出会ったときは、大学卒業後に世界を旅している途中でしたね。

酒井:お互い美術に親しんでいたこともあって意気投合。そのとき彼の手元に3枚の画があって、それをふたりで150ユーロずつ出して買うことにしたんです。300ユーロで買ったその画を、800ユーロで売ることができて、そのとき得た500ユーロで起業しました。彼の父親はコロンビアでは有名な美術商で、彼も幼い頃から美術に触れてきていますし、その縁と審美眼でとてもいいアーティストとお付き合いすることができています。

QUI:東京にギャラリーを設けようと思ったのはどういう理由からですか?

酒井:私の母国ということもありますし、彼はビジネスを学んでいるときからアジアのマーケットに興味を持っていました。アートの市場として日本はこれから伸びていく国だと思っています。東京のギャラリーではラテン圏のアーティストを紹介しながら、アジアのアーティストをラテン圏に紹介する活動は、美術商であるダビッドの父親がメインで行っています。

身のまわりのものを使って新しいものを作る、フェデリコ・ウリベ

QUI:それぞれの作家さんについて教えていただきたいのですが、いちばん作品数が多いのはフェデリコ・ウリベさんでしょうか?

酒井:そうですね。フェデリコは私たちがいちばん最初に知り合ったアーティストで、鉛筆やネジ、自転車のタイヤ、ケーブルなど、身のまわりのものを使って新しいものを作るということをコンセプトにした作家です。彼の作品には、なぜその素材を使って作品を作っているか、ひとつひとつに理由があります。

例えば色鉛筆で作った作品がいくつかありますが、彼は色を自分の感情であると捉えています。肖像画も人によって出しているエネルギーや感情が違うので、使う色が変わってくるんですね。

薬莢(やっきょう)でできた動物たちは、コロンビアの内戦が終わったタイミングから作られたシリーズで、人間の起こした戦争によって命を奪われた動物たちを表現しています。

色鉛筆で描かれた肖像画。ドルチェ&ガッバーナのドメニコ・ドルチェもポートレートを依頼したそう

薬莢でできた動物のシリーズ。薬莢ひとつひとつに火薬が入っていないかなど、関税を通すのがとても大変なのだとか…

人種差別をテーマにしたシリーズ「Everybody gets Screwed」。全部で24体あり、宗教など異なる人種をすべてネジで表現している。写真は「パンク」

幾何学を芸術として確立させたカルロス・ロハス、マノロ・ヴェジョヒン

QUI:こちらは一転、静的な印象の作品ですね。

ダビッド:向かって左がCarlos Rojas(カルロス・ロハス)、右がManolo Vellojin(マノロ・ヴェジョヒン)の作品で、ともにコロンビアを代表するアーティスト。それまで保守的なアートが評価されていた時代に、幾何学を芸術として確立させた功労者です。現代のラテンアメリカのアーティストも彼らの作品について学び、大きな影響を与えています。Jorge Riveros(ホルヘ・リヴェロス)もこの流れをくむアーティストで、建築をどう幾何学で表現するかをテーマにしています。

建築を学び、建築を幾何学で表現するホルヘ・リヴェロス(コロンビア)の作品

南米の歴史と現代のキャラクターを融合させるナディン・オスピナ

QUI:このモチーフは、どこかで見たことがあるような…

ダビッド:これはNadin Ospina(ナディン・オスピナ)の作品で、コロンビア生まれのアーティスト。アメリカではコンテンポラリーアートの巨匠として知られています。政治や世界情勢に対する批判の視点が込められた作品が多く、南米の歴史と、いま我々がテレビなどで影響されているキャラクター(ディズニーやレゴなど)をミックスさせているのが特徴。この作品も、ザ・シンプソンズのキャラクターが着ているのはスペイン人が入植する前のラテンカルチャーの服装です。

アルミニウムを使って自然を表現するエドガー・ネグレット

QUI:こちらのポップな作品は何でできているんですか?

ダビッド:アルミニウムです。Edger Negret(エドガー・ネグレット)という、こちらもコロンビアを代表するコンテンポラリーアーティストですね。アルミニウムを使って自然を表現していて、いちばん左はコロンビアの主食であるトウモロコシを表現しています。

QUI:トウモロコシ!右にあるのはお花っぽいですけど、上に掛かっているのは何でしょう…?

ダビッド:waterfall.

QUI:滝…。なるほど!

お話をきけばきくほど、どんどん興味が湧いてきました。展示はどのくらいの周期で入れ替わりますか?

酒井:45日周期で変えていく予定なので、ぜひまたいらしてください。

日本でこそはじめてお目にかかる作品がほとんどだが、デカルテ ギャラリーに並ぶのは世界的に評価されるアーティストの作品ばかり。ぜひ一度足を運んで、ラテンアートの魅力を感じてほしい。

DKARTE gallery

〒103-0004 東京都中央区東日本橋三丁目4番6号

Tel:070-4371-6394

営業時間:金・土・日 11:00-18:00

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