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普通の服を作ってもしょうがない。喜覚崚介|ADANSデザイナー

Apr 23, 2019 - FASHION
時代を捉え、半歩先を行くクリエイティビティとスピード感を武器に、ファーストシーズンの2019SSから注目を集める新進気鋭ブランド。ADANS(アダンス)ディレクター/デザイナーの喜覚崚介に、自身とブランドのストーリーを訊いた。
Profile
喜覚崚介(きかく・りょうすけ)
ADANSディレクター/デザイナー

1992年、三重県生まれ。2015年、南山大学経営学部卒業後、ソスウインターナショナルへ。MIHARA YASUHIROのDNAを受け継いだストリートブランドMYneのディレクターを立ち上げから2018年まで3年間務める。2019SSより、ADANSをスタート。

ヒップホップの音楽、ダンス、ファッション

出身は三重県で、実家は歩いて1分ぐらいで田んぼがあるような、ホント田舎で育ちました。小さいころはワンパクというかガキ大将系でしたね。公園にみんなで集まって遊ぶんですが、僕は自分でルールを考えることが好きでした。鬼ごっこの進化形みたいな遊び方を考え出して、これがルールなってみんなに押しつけて(笑)。

もちろんファッションなんて全く興味がなかったですが、小学5年生ぐらいからとにかくでかい服ばっかり着るようになりました。というのも学校で一番仲良かったヤツが大の音楽好きで、ジェイ・Zがどうだとかカニエ・ウェストがどうだとかYouTubeを見せられまくって、その影響をかなり受けました。当時はエミネムが出てきたころでB系が流行っていて、ショッピングモールにもB系ファッションのショップがけっこうあったんで、そこでビッグサイズのTシャツやパーカ、NEW ERAのキャップなんかを買っていましたね。

ヒップホップを教えてくれたその友だちとはずっと仲良くて、高校生のときにはダンスもやってみようぜって。ツタヤでレッスンDVDを借りて、夜に近所の商業施設のガラスを鏡代わりに練習して警備員さんに怒られたり(笑)。みんなそこで練習しているので、いろんな先輩に出会って名古屋のクラブに連れて行ってもらったり。当時はもちろん、ヒップホップは今もずっと好きですね。服は相変わらずで、とりあえずでかければOKという感じでした。

 

MYneの経験、ADANSのスタート

ちゃんとファッションに興味を持って、ブランドについて調べて着始めたのは大学に入ってから。名古屋の大学に進学したんですが、とにかく目立つことが好きだったんで、入学式に髪をピンクにしていったんですよ。それで大学のファッションサークルの人たちに目を付けられて「とりあえず来て」と。おしゃれな人がたくさんいる空間に行ったことがなかったのでカルチャーショックを受けて、なんかいいなって。インカレサークルで300人とか普通に集まる規模感で、集まって服飾について学ぶってわけじゃなく、服好きが交流するってことが主旨でした。ほんと変な人が多かったですね。

大学の学部や学科はファッションにまったく関係なく、もともと起業するのが目標で経営学部に入りました。全然マジメじゃなかったですけど。僕、人生でマジメだったこと一回もない(笑)。ということで大学卒業後、まずは一般企業に就職する予定で内定ももらったんですが、いろいろご縁があってファッションの道に進ませていただくことになりました。

正直、自分自身も思い描いていなかった状況で、何が何だかわからずに上京したってのが実情で。ただファッションで成功したい、でかいコトがしたいという思いで、入ってからは毎日がむしゃらでした。右も左も分からないところから、本当にイチから勉強させてもらったというか。前職の3年半ぐらい、新規ブランドのディレクターも立ち上げからショップの出店まで、ブランドが大きくなる過程を経験させてもらえました。そこで培った経験は今もいきています。

今回の独立、そしてADANSの立ち上げに関しては、いろいろタイミングが重なった今しかないなって。もともと3年ぐらいで会社を作ろうとは思っていたので。僕は学生時代から起業したいというのが第一にあったので、もしアパレルじゃなくても独立して社長にはなっていました。

2018年の8月末に退職して10月にはもう展示会をやっていたので、本当にバタバタでした。前職でも年4回展示会をしていたのでバタバタに慣れてはいるんですが。ADANSでも展示会は年4回の予定です。

 

何かに踊らされず、自ら踊るための服

ADANSはダンス(DANCE)って言葉に由来していて。踊るっていう能動的な動きというよりは世間に踊らされている人々を斜めから見て皮肉の効いたデザインをして、人が何かを考えるきっかけになればなと思っています。

あとは世の中にあるアイコニックなもの、今まで服にはしてこなかったようなものを服に落とし込みたい。サンプリングっていうとヒップホップとか昔からあるクラシックなものを引用するイメージですが、もっと日常的にあるけれどまだだれも服にはしていないものを、毎シーズンのテーマに沿って面白く入れていこうと思っています。世の中にあるステレオタイプな洋服でなく、ひと癖、ふた癖加えたいですね。あんまり普通の服を作ってもしょうがないんで。

一番分かりやすいのがこのTシャツでしょうか。Tシャツは気に入っているので、今後も継続してグラフィックを変えながら出していこうかなと。型にも素材にもこだわっているので、ぜひ手にとっていただきたいです。

コレクションを作るときにはまずテーマとアイテムの型を決めています。シーズンのテーマはそのタイミングで自分や世の中の人たちが気になっていること、踊らされているなと感じることを題材としています。テーマに沿ってグラフィックをたくさん作って、そこから服に落とし込んで調整するんですが、難解になりすぎず、見る人がなんとなくテーマを想起できるぐらいのキャッチーさを狙っています。

今後の展望は……まあ、ゆるくやっていきたいなと。未来のことは考えても分からないんで。

 

あなたにとってファッションとは?

「遊び」

 

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  • Text : Yusuke Takayama
  • Photography : Miyuki Kuchiishi