「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」いま、日本の現代アートが映し出す人・文 化・自然のカラフルな交差。
森美術館は、2023年3月26日(日)まで、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」を開催中。「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、2004年以来共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展である。第7回目となる今回は、1940年代~1990年代生まれの日本のアーティスト22組の作品約120点を紹介する。既に国際的な活躍が目覚ましいアーティストたちから今後の活躍が期待される新進気鋭の若手まで、創造活動のクロッシング交差点となる展覧会。
長引くコロナ禍により私たちの生活は大きく変化し、これまで見えにくかったさまざまな事象が日本社会の中で顕在化しはじめた。以前はあたりまえのように受け入れていた身近な物事や生活環境を見つめ直すようになったり、共にこの怒涛の時代を生きる隣人たちの存在とその多様さを強く意識するようになった。そして今後、人流が回復し新たな文化の展開が期待されるなか、あらためて現在の「日本」にはさまざまな民族が共生し、この地に塗り重ねられた歴史や文化が実はすでに色とりどりであることについて、再考が求められるだろう。その先に私たちはどのような未来を想像し、また共に作っていくことができるのか。
サブタイトルの「往来オーライ!」には、歴史上、異文化との交流や人の往来が繰り返され、複雑な過去を経て、現在の日本には多様な人・文化が共存しているという事実を再認識しつつ、コロナ禍で途絶えてしまった人々の往来を再び取り戻したい、という思いが込められてる。このような文脈において、日本の現代美術やクリエーションとは何かをあらためて広い視野から検証し、先の見えない明日をみなさんと一緒に考えたい。
本展を紐解く 3つの鍵: コロナ禍を経て、浮かび上がる社会像を考察する
本展のキュレーター4人のコロナ禍を起点とする議論により、 2022年の今、考察すべき3つのトピックスで展覧会を構成。
1. 新たな視点で身近な事象や生活環境を考える
コロナ禍により、私たちは身近な事象や生活環境をより強く意識するようになった。これは、東日本大震災を経た日本で、自然や環境について関心が高まったことの延長線上にあると言えるだろう。そんな意識を通じて、私たちは未来を考えることが求められている。 本展では、AKI INOMATAによるビーバーにかじられた木材を基に制作された立体作品シリーズ、コロナ禍での生活環境の変化を起点に奇想天外な未来を志向する市原えつこ、身近な環境を変容させるインスタレーションを発表する玉山拓郎、青木野枝による自然現象に想を得た大型立体作品、竹内公太が福島県の放射能汚染による立入制限区域で撮影した写真を含むインスタレーションなどを紹介。
AKI INOMATA
《彫刻のつくりかた》
2018年-
インスタレーション
サイズ可変
Courtesy:公益財団法人 現代芸術振興財団(東京)
展示風景:「彫刻のつくりかた」公益財団法人 現代芸術振興財団 事務局(東京)2021年
撮影:木奥惠三
市原えつこ
《未来SUSHI》
2022年
食品サンプル、食器、回転コンベア、電子パーツ、人型ロボット、3Dプリント素材、アクリル、木材、ほか
サイズ可変
2. さまざまな隣人と共に生きる
今、遠隔のコミュニケーションにより働き方の選択肢が増えたり、多拠点生活が可能になっている。このようにコロナ禍がもたらした変化は、個々人の属性や家庭環境、社会的状況によりさまざまであり、多様な隣人がいることに気づかされた。本展では、変わりゆく世界を見つめながら、さまざまな隣人たちを描くO JUNの絵画、失踪していた伯母と再会し、その後の姿を撮影し続けた金川晋吾によるポートレート写 真、キュンチョメによるトランスジェンダーを主題とした映像作品などを紹介。「ダイバーシティ」や「LGBTQ+」という言葉を意識した取り組みが加速度的に増える一方で、そうした言葉の影に隠されてしまうもっと見えにくい差異も含めて、さまざまな人たちが共に暮らす今日の社会の姿を考察する。
O JUN
《美しき天然》
2019年
油彩、キャンバス
350×240×5 cm
Courtesy: ミヅマアートギャラリー(東京)
金川晋吾
《長い間》
2011年
インクジェットプリント
28.3×35.7 cm
3. 日本の中の多文化性に光をあてる
コロナ禍で海外からの人流が途絶えたにもかかわらず、海外にルー ツを持ちつつ日本で生活している人たちの姿を日常的に目にすることがある。インバウンド・ブームの陰で見えにくくなっていた、この国には多様な民族が共生しているという事実がより見えやすくなったといえるだろう。顧みれば現在の日本は、アイヌや沖縄の人々、中国系、コリア系といったさまざまな民族が、政治的変化や複雑な歴史を経て共に暮らす場となっている。昨今、世界中で民族・文化的に周縁とされてきたものに対する再評価の動きがあるなかで、連綿と続いてきた日本の中の文化的多様性に光をあて、新しい時代を共に考える必然性があるのではないだろうか?本展では、池田宏によるアイヌの人々を主題とした映像インスタレーション、住み慣れた場所を離れる最後の時間を撮影した石内都の写真作品、海路による人々の往来を主題にテキスタイルで物語を紡ぎ出す呉夏枝や潘逸舟による移住・移転をテーマにした作品、石垣克子と伊波リンダという沖縄出身のアーティストによる作品などを紹介。
池田 宏
《椎久愼介 標津町2022年7月》
(「AINU 2019-2022」シリーズより)
2022年
デジタルデータ
サイズ可変
呉 夏枝(オ・ハヂ)
《空白いろのきおくに浮かぶ海女の家/船(えぶね)》
2018年
金沢で集めた古着や布(麻長襦袢、木綿晒など)、亜麻、陶器重り、釣針、サイアノタイププリント
サイズ可変
展示風景:「東アジア文化都市2018金沢 変容する家」金沢21世紀美術館
撮影:木奥惠三
※参考図版
名称「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」
主催:森美術館 協賛:セコム株式会社、公益財団法人現代芸術振興財団、フジテック株式会社、
株式会社大林組
企画:天野太郎(東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)、
レーナ・フリッチュ
(オックスフォード大学アシュモレアン美術博物館 近現代美術キュレーター)、
橋本 梓(国立国際美術館主任研究員)、
近藤健一( 森美術館シニア・キュレーター)
企画協力:国立国際美術館
会期:2022年12月1日(木)ー2023年3月26日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階) 開館時間:10:00-22:00(火曜日のみ17:00まで。ただし12月6日[火 ]は16:00、1月3日[火 ]、3月21日[火・祝 ]は22:00まで) *12/17(土)は17:00まで *入館は閉館時間の30分前まで *会期中無休 *当館の新型コロナウイルス感染症対策への取り組みについてはウェブサイトでご確認ください。 https://art-view.roppongihills.com/jp/info/countermeasures/index.html
お問い合わせ:Tel:050-5541-8600(ハローダイヤル) 森美術館ウェブサイト www.mori.art.museum
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プレゼントキャンペーン:12/15(木)締切
応募方法
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